十七話〜邦介の受難〜
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言葉を発したのは。
「貴様らそんな恥晒してよく平気でいられるな」
隣の席から冷やかな声で、左腕だけに黒い手袋を嵌めた変な男の子、門音君が苛めている子たちに言い放った言葉でクラスの空気は凍り付いた。
急に辛辣な言葉が出てきたこともあるが、初めてだったのだ授業での質問に答える意外でまともに言葉を発することは。
……いや、私は入学式の時に一度だけあったが、それ以降話すことは無かったからどんな人かなんてことは分からなかったし、気にすることも無かった。
「……あ? 俺の言ってることが分からなかったか? 貴様らのことを言ってんだよ。ニヤニヤ笑っていた奴ら。そう。貴様らの事だ。いちいち俺に気付かさせないと自覚出来んのか。筋金入りの馬鹿共だな」
一人一人を指で指し示して、さっき苛めていた人達が自分の事を指さすのを見ると、不機嫌そうに鼻を鳴らしながら、彼は見下したように笑った。
そして、私の机の上に何かが書かれた紙片を置きながら席から立ち上がると苛めていた子達の所に歩いて行き始めた。
私は涙を拭いて紙切れを見ると、綺麗な文字でこう書いてあった。
『今からやることは演技だから気いいにいすんなああああ。そして泣いてもどうにもならないぞ(゜Д゜。)』
思わず吹いてしまいそうになった私は悪くないと思う。
そこからは門音君のありとあらゆる罵詈雑言の嵐で、苛めていた子達が「分かった! もう分かったから許してくれ!!」と泣きながら土下座をしたことでその、門音君の言葉責めは終わった。
途中で津神君が「なに俺のすずかを苛めてんだよ!! このモブが!」って叫びながら、何故か門音君に殴り掛かってきたけど、門音君はその子の足を引っ掛けて、津神君の体全体を一瞬浮かせた。
そして、机の角に向けて津神君の鳩尾を思いっきり蹴りつけて津神君を気絶させてしまった。
私はその時の「……少しは空気よめよ」ってぼそりと呟いた門音君の言葉に思わず顔が引き攣る感じがしたが、なんとなくスッキリしたので心の中でそのことについてお礼を言っておいた。
色々とあったけど、その事にお陰で今の私があるし、なのはちゃんと友達になるまでずっと話相手になってくれたから門音君には感謝してもしきれない。
ただ、左腕の手袋の中身が何なのか見せてくれないことだけは不満だけど。
ふと、我に返るとアリサちゃんがなのはちゃんの胸元に掛けられた首飾りを弄りながら、興味深げに話かけていた。妙にその距離が近いのは気のせいだということにしておく。
「なのは。ずっと前から気になってたからこの際聞くけど、あんた、その首飾りを私達と初めて会った時からずっと着けて学校に来てるけど……それ、なんなの?」
「あ、それ私も気になって
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