第8話
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
高の一撃。
「下がったのは、下策じゃない、攻撃を誘う為だ!」
ゼロの言葉と共に、零式が光を放つ。これは…、今、たった今、零式が本当の意味でゼロのISとなった、と言うこと、か。
全身装甲は変わらず、真紅のマントを背に纏い、空色の装甲、肘に輝く鋼の刃、そして、腰に携えた日本刀。
その日本刀の柄に、ゼロの手が添えられている。俺の突撃を居合いでカウンター、ゼロの狙いが見てとれる。
行けば餌食になるのは間違いない、だが、それでも、
「ゼロ、満足か?このまま、一夏や先生達を恨み続ける人生で、満足なのか!?」
「分かってるよ!でも、それを捨てたら、俺が俺じゃ無くなるんだよ!」
行くしかない。恨むだけが人生じゃない、そんな当たり前の事を、ゼロに思い出させるために。
スラスターを全開で起動させ、最高速で突撃する。
ゼロの太刀が煌めく、もっと、もっと速く!
放出されていたスラスターのエネルギーが再び機体に還ってくる。そして、圧縮して放出されたエネルギーが、爆発的な加速を産む!
「『瞬時加速』!?読み違えた…!?」
瞬時加速で更に加速し、ゼロが抜いた太刀とエネルギー刃が衝突。激しく火花を散らす。
「ぐううぅっ…!」
「おおぉっ……!」
威力は互角、衝突の余波が、無人のステージを揺らす。
「俺は、俺は負けられない!家族を奪った奴等に、報いを与えるまでは!」
ゼロの想いが乗った太刀がエネルギー刃に食い込んでくる。だが、
「ふざ…、けるなぁぁぁ!!」
俺の刃は、想いはそれを遥かに上回っていた。
「ゼロ!お前は!お前を好いた人を、蔑ろにするのか!?」
エネルギー刃が太刀を押し戻す。
「宮間さんやのほほんさん、これからゼロを好きになる人を、泣かせるのか!」
更に押す、押していく。
「憎んで良い、恨んで良い、でもな…、大事な人を、裏切るな!」
ゼロの太刀が勢いに負け、後ろに飛んでいく。
「俺は今日、憎しみに凝り固まったゼロを討つ!だから…大事な人を護るヒーローとして立ち上がれ、ゼロ・グランツ!!」
「そうか。来い!丹下智春!俺の憎しみ、その手で貫け!」
俺の一撃が、腕を広げたゼロの胸に入る。
大の字になって倒れたゼロの顔は、これ迄に無いほどに、安らいでいた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ