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IS〈インフィニット・ストラトス〉駆け抜ける者
第8話
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高の一撃。

「下がったのは、下策じゃない、攻撃を誘う為だ!」

ゼロの言葉と共に、零式が光を放つ。これは…、今、たった今、零式が本当の意味でゼロのISとなった、と言うこと、か。

全身装甲は変わらず、真紅のマントを背に纏い、空色の装甲、肘に輝く鋼の刃、そして、腰に携えた日本刀。

その日本刀の柄に、ゼロの手が添えられている。俺の突撃を居合いでカウンター、ゼロの狙いが見てとれる。

行けば餌食になるのは間違いない、だが、それでも、

「ゼロ、満足か?このまま、一夏や先生達を恨み続ける人生で、満足なのか!?」
「分かってるよ!でも、それを捨てたら、俺が俺じゃ無くなるんだよ!」

行くしかない。恨むだけが人生じゃない、そんな当たり前の事を、ゼロに思い出させるために。

スラスターを全開で起動させ、最高速で突撃する。

ゼロの太刀が煌めく、もっと、もっと速く!

放出されていたスラスターのエネルギーが再び機体に還ってくる。そして、圧縮して放出されたエネルギーが、爆発的な加速を産む!

「『瞬時加速』!?読み違えた…!?」

瞬時加速で更に加速し、ゼロが抜いた太刀とエネルギー刃が衝突。激しく火花を散らす。

「ぐううぅっ…!」
「おおぉっ……!」

威力は互角、衝突の余波が、無人のステージを揺らす。

「俺は、俺は負けられない!家族を奪った奴等に、報いを与えるまでは!」

ゼロの想いが乗った太刀がエネルギー刃に食い込んでくる。だが、

「ふざ…、けるなぁぁぁ!!」

俺の刃は、想いはそれを遥かに上回っていた。

「ゼロ!お前は!お前を好いた人を、蔑ろにするのか!?」

エネルギー刃が太刀を押し戻す。

「宮間さんやのほほんさん、これからゼロを好きになる人を、泣かせるのか!」

更に押す、押していく。

「憎んで良い、恨んで良い、でもな…、大事な人を、裏切るな!」

ゼロの太刀が勢いに負け、後ろに飛んでいく。

「俺は今日、憎しみに凝り固まったゼロを討つ!だから…大事な人を護るヒーローとして立ち上がれ、ゼロ・グランツ!!」
「そうか。来い!丹下智春!俺の憎しみ、その手で貫け!」

俺の一撃が、腕を広げたゼロの胸に入る。

大の字になって倒れたゼロの顔は、これ迄に無いほどに、安らいでいた。
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