第8話
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何時の世も、報道は、自分に都合の良い情報しか流さない!」
内に秘めた怒りをさらけ出し、ゼロは語り出す。白騎士事件の『真実』を。
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「俺の家族は…、事件に巻き込まれて、命を落としたんだ」
「……!!」
「しかも、白騎士の攻撃の余波で、だ」
報道された情報と全く違う内容を、当事者であるゼロは続ける。
「撃墜された戦闘機が、避難していた親父達を押し潰した。俺は、偶々躓いたから、生き残った」
能面の如く感情を出さず、只あったことを語るゼロだが、その目の奥の奥に、隠しきれない怒りと嘆きがあった。
「親父達の喪が開けたら、揉み消されてたよ、何もかも。…他でもない、ISの生みの親、篠ノ乃束の手によって!」
ゼロの過去と、白騎士事件の裏側、篠ノ乃束との因縁は分かった、だが、
「一夏達を嫌う理由は?」
「…その白騎士の正体が、織斑千冬だ」
「…つまり、家族の敵、か?」
「お門違いなのは分かっているんだ。だけどな、憎んだから、白騎士や篠ノ乃束を憎んでいたから、俺は生きてこれたんだ!」
確かに、家族を突然理不尽に奪われ、全て無かったことにされたら、生きていくため、白騎士であった織斑先生や篠ノ乃束を憎みでもしなければ、やってられなかったのであろう。
「人の家族を奪っておいて、のうのうと暮らしている織斑千冬も、なにも知らずに姉を心酔する弟のワンサマーも、 俺は絶対に許さない」
漸く、ゼロの一夏嫌いに納得が出来た。時に、知らない事は、他人を傷付ける刃となる。本人に決して悪意がなくても、だ。
誰も悪いことはしていない。ただ、運が悪かっただけだ。だが、それで割り切れるほど人は冷たくない。
「俺にも適性があって、これで度肝を抜かさせてやるって矢先に、憎い相手の息がかかったISだ。…滑稽だろ?」
そう言って乾いた笑みを浮かべるゼロが酷く痛々しく見えた。
俺がどんな言葉をゼロに言っても、慰めも叱咤激励も意味を成さないだろう。
どこまで行っても俺は、第三者でしかなく、彼が受けた傷を癒すことは出来はしない。
「…ゼロ、バトル、しないか?」
「…何だって?」
「慣らし運転込みで、だ。この際、溜め込んだ諸々全部出しちまえ」
ISの悩みは、ISで解決するしかない。
自分のIS、ヴァンガードを起動させ、拳にエネルギーを纏わす。
「来いよゼロ!見栄も格好も取っ払って、素のお前をぶつけて見せろ!」
「良いだろう、行くぞ、ハル!」
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観客の無い静かなステージに、二つの影が舞っている。
一人は先導者の名を与えられた、濃紺のIS。
もう一人は、起動したばかりの、本人の意にそぐわなかった、因縁のIS。
誰
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