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戦国御伽草子
弐ノ巻
ひろいもの

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朝日が眩しく瞼を刺す。



あたしは上半身を起こした。



あー…なんか、すごくすっきりした気分…。



吐く息も白い。冬の冴えた冷たささえ、寝所で温まった体を覚ますには心地いい。



うーんと腕を伸ばして、固まった体を伸ばす。



ん?



お腹の上に違和感があって、(ふすま)をめくると、なにこれ、腕…。



ぼんやりとそのお腹の上に乗ってる腕をみて、それから衾を押さえる自分の腕を見た。



あたしの腕は、目の前にちゃんと二本ある。



とすると…これは!?



「きっ、きゃああああああああああ!?」



お化け!?いや、違う!



瑠螺蔚(るらい)さん!?」



隣でがばっと飛び起きたのは、高彬(たかあきら)



「あっ、ああああ、あ、あんた、な、な、なに、なになにを…」



あたしは咄嗟(とっさ)に衾ごと障子際に飛び退(すさ)った。



高彬はあわをくって手を顔の前で降り始めた。



「いや、ち、違う瑠螺蔚さん誤解!誤解だから!本当に!誤解だから!」



今の状況を理解したのか、高彬のその頬にさっと赤みが差したのが、なんかやだ!



目の前の高彬は、髪も結ってないし、着ているものも寝てたから当たり前なんだけど、寝乱れてて、なんか、なんか…。



まさか、こいつ、あたしに何かしたんじゃないでしょうね!?



混乱しながらも、膝を詰めようとした高彬に向かって、楯のごとく衾を突きだす。



「近寄らないで!あんた、なんでここにいるのよ!まさかとは思うけど…」



「ええ!?いや、違う、本当に!本当に違うから!瑠螺蔚さん昨夜のこと覚えてないの!?」



「ゆ、ユウベ、ですって!?」



意味深に聞こえたのが動転と興奮に輪をかけて、あたしは髪も呼吸も振り乱して叫んだ。



「瑠螺蔚さまっ!?」



いきなり、背にしていた障子がすぱーんと大きく開いた。



由良(ゆら)!?いや違う!違うから誤解するな!」



あたしが振り返るよりもはやく、高彬が弁解する。



あたしは後ろを見た。由良が茫然としたように、高彬を見ていた。それからあたしに視線がうつる。



衾を胸元に掻き寄せるあたしの姿を上から下まで眺めると、その顔はみるみる真っ赤になり、瞳が潤む。そして由良は



「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」



叫んだ。あたしよりも遥かに大きい声で。


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