23話「グランドウルフ戦 (2)」
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グランドウルフは、自分の獲物になぜか攻撃が当たらないことに戸惑っていた。
それは後ろのグレイハウンドを相手していた警備兵とガーク達も同じだった。
本人とユーゼリアにはああ言ったものの、流石にBクラスの魔物をC相当とはいえ1人に全て任せるなんて、思ってはいない。さっさとハウンドを蹴散らして援護にまわるつもりだった。
警備兵達も同じだろう。ガークやアズルのような貫禄のあるオジサンなら兎も角、一番危険で厄介なグランドウルフの足止めという役割を負ったのは、まだ20もそこそこという青年。下手をすれば息子と同い年である。
ところが、今、彼らはまるでそんなことを考えていなかった。否、いられなかった。
「…なんだ……あれ…」
思わずハウンドそっちのけでグランドウルフとアシュレイの攻防を見入ってしまう。
「あいつ、単に歩いてるだけだぞ……?」
アシュレイは、グランドウルフの足下を歩いていた。ウルフの周りをぐるぐると。
「ワォ――ン―……」
グランドウルフは高く長く遠吠えする。
「なんだッ!?」
アズルがハウンドの牙に剣を弾き返されつつ声を上げた。
「グレイハウンドが…」
ハウンド達は撤退し始めていた。町に侵入しようとしない。
どういうことかとガーク達が頭を捻ったその時。ついに、最初の1匹が身を翻す。
翻し、そして――
「ガアアッ!」
アシュレイに牙を向けた。
「んなッ!?」
「危ねぇ!!」
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