暁 〜小説投稿サイト〜
シャンヴリルの黒猫
22話「グランドウルフ戦 (1)」
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
とを考えていると、ひとりの大柄な冒険者がアシュレイ達の元に寄ってきた。彼の後ろには30過ぎと思われる長剣を差した男と、先ほどギルドで見たローブの冒険者がいた。

「お前ら、ランクと武器を教えてくれ」

 槍を担いだ、如何にも屈強そうな男だ。浅黒い肌には過去の消えきらなかった傷痕がいくつも見えた。

「俺は槍使いのガーク、Bランカー。そこのが今パーティを組んでる、剣士C+ランカーのアズルと、魔道士B-ランカーのクオリだ。クオリは回復魔法も使える。ちょうど3人であのグランドウルフの討伐に来ていたところだ。Bクラスの魔物だからな。まあ、魔獣じゃないのが救いなんだが」

「そうね。魔獣と魔物じゃ相手の仕方が違うもの。よろしく、私はユーゼリア。B+の召喚魔道士」

「ユーゼリア…って、あんた【孤高】か! こいつは心強い。そっちの顔の良い兄あんちゃんは?」

「彼はアシュレイ。訳あって今一緒に旅をしているの。剣士でまだF-だけど、実力はC以上なのは確かよ」

「おいおい、まだこんなに若い“剣士”が実力C以上? そりゃ流石に冗談キツいぜ、【孤高】さんよ。魔道士じゃあるめェに」

 後に聞くには、魔力の量と才能でものが決まる魔道士なら兎も角、剣士などの自分の腕で戦う近接系は才能も必要だが、余程の天才でない限りは、何より経験が大切なんだとか。
 故に、ランクC以上の近衛職は年齢も上の方が多く、30歳前でBやAランクになっているのは珍しいらしい。

「だが…」

 ガークが続けた。ニヤリとアシュレイに笑いかけながら言う。

「【孤高】が太鼓判を押すなら、いいだろう。Cランカーとして扱うぞ。…本当にだな?」

「ええ。もちろん」

「カッ! 随分信頼されてんなァ! え? (あん)ちゃんよぉ!」

 ドスドス肘鉄を喰らわせながら、耳に顔を近づけて早口に言った。

「だが俺は完全に信用したわけじゃ無ェからな。悪いが一番キツい役を回させてもらうぜ」

「構わない。死ぬつもりはないからな」

 その言葉に驚いたような顔をしながらも、豪快に笑いつつバシバシと肩を叩いた。

「ガハハ! 死ぬなよ、アシュレイ! 前途ある若者(わかも)ンよ!」

 苦笑を返しつつ西門の外へと向かう。

 アシュレイの担当は、グランドウルフ。ユーゼリアが召喚をするまでの間、時間稼ぎをすることだった。ガーク、アズル、クオリの3人は、グレイハウンドの掃討を担当する。終わり次第援護に来るらしい。
 これは確かに難しい、とアシュレイは腕を組む。

(手加減の仕方の良い練習になるかな)

 目視できる程まで近づいたオオカミ共を見て、そう思った。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ