第二幕その五
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今逃げれば問題はない」
彼は言う。
「けれど捕まったら」
「そうなの」
「何を言っているんだ、彼は本気だ」
マノンの危機意識のなさに呆れながらも述べる。
「だから早く」
マノンの手を取って去ろうとする。しかし。
「待って」
彼女はここで辺りを見回す。そして宝石やらを集めだしたのだ。
「これだけは持って行かないと。あとこれも」
「そんなものはどうでもいいじゃないか」
「どうでもよくはないわ」
しかしマノンはあたふたと宝石を集めて次々に小箱に入れていく。
「これだけのものなんてそうそう手に入らないから。これだって」
「マノン、また君は」
デ=グリューはそんな彼女を見て嘆いて言う。
「馬鹿なことを。そんなものどうでもいいじゃないか」
「よくはないわ」
しかしマノンは自分の考えを優先させた。
「だってこんな綺麗なのに」
「そんなものに目を晦まさせられて何もかも失うのかい?僕はそんな君の為にどんな目に遭ってもどんな慣れないことをしても君のことを思っているのに。それなのに君は」
「それでも」
「同じだ」
彼は嘆いて言い捨てた。
「いつもいつも。そしてまた」
「おい、大変だぞ」
そこへレスコーがやって来た。
「お兄様」
「レスコー」
二人は同時にレスコーに顔を向けた。彼は肩で息をしながら二人に言う。
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