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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第二十六話 嵐近付く
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親っさんが微かに頷いた。

『フェザーン人の悪い癖です。何でも金でかたが付くと思っている、或いは付けようとする』
「そうですな」
確かにそうなんだな、フェザーン人ってのは商人のせいかもしれないが金の力を信じすぎだよ。ローエングラム公暗殺未遂事件だぜ、帝国は二個艦隊動かすんだ、フェザーンもそれなりの覚悟が要ると思うんだがな。

「現時点でフェザーンからは輸送船、交易船の出向を控えています。拿捕、撃沈されては敵わないという事でしょうが、自分達が船を出さなければ帝国に大きな打撃を与える事が出来る。そういう思いも有るようです」
『なるほど……』
「こちらの動きに気付いていないのはそれも有ると思います」
なんというか、全部フェザーンにとっては裏目に出てるんだな。危険だけど船を出した方が情勢が探れるんだ。それをしないばかりに親っさんの動きさえ掴めていない。

『ところでルビンスキー自治領主、ケッセルリンク補佐官の動きはどうです?』
「今のところは特に目立ったものは有りません。周囲を落ち着かせようとしています」
『逃亡は未だしませんか……』
「はい」
親っさんがまた頷いた。

『長老委員会の動きは』
「特に何もありません。落ち着いています」
『ルビンスキー解任の動きは無い?』
「当初はそういう動きが僅かですが有ったようです。しかし今は……」
スウィトナー所長が首を横に振ると親っさんが“有りませんか”と後を続けた。

『自由惑星同盟の弁務官事務所は如何です』
スウィトナー所長が苦笑を浮かべた。
「一番落ち着いていると言って良いでしょう。ヘンスロー弁務官は相変わらず女の所に入り浸りですし他の人間も余り気にする事も無く通常業務に励んでいます。どうやら大したことにはならない、そう見ているようです。或いは諦めているのか……」

『ルビンスキーに丸め込まれたのかもしれませんね、大したことにはならないと……。全く何を考えているのか、同盟はどうにもならない……』
親っさんが溜息を吐いている。まあ、その通りだな。所長が苦笑するのも分かるし、親っさんが溜息を吐くのも分かる。確かに何を考えているのか俺にもさっぱり分からない。

『我々がそちらに到着すれば大騒ぎになるでしょう。その時は安全は保障する、帝国軍が来る前に同盟に帰還させると言って彼らの保護を申し出てください。下手に混乱させるととんでもない事をしかねませんから』
「了解しました」
『その後は』
「分かっています」

親っさんとスウィトナー所長が頷き合っている。五十歳を超えた虎髭の所長と二十代前半の親っさん、どう見ても不釣合いだけどその二人が謎めいた会話をして頷き合っている。うん、何か危険な香りがするな。大物悪党同士の秘めた会話、そんな感じだ。

『“テオドラ”は如
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