暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第二十六話 嵐近付く
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ーマイヤー艦隊、イゼルローン要塞のケスラー提督にも警告は出された……。

「エーリッヒの言う通りになったな、アントン」
「まさかワーレン提督が襲われるとは……」
アントンが顔を歪めている。テロが有るとは想定していただろうがワーレン提督を直接狙ってくるとは思わなかったのだろう。だが考えてみれば討伐艦隊の頂点を狙う、これほど効果的なことは無い。ローエングラム公でさえ標的にしたのだ。

「命に別条が無い事が救いだ……」
「ああ、そうだな」
ローエングラム公も引き返せ、代わりの艦隊を送る、或いは指揮官を送るとは言わなかった。ここでそんな事をしたらテロが有効であることを証明してしまう。ワーレン艦隊の司令部にとっては些か厳しいかもしれんがここは踏ん張ってもらうしかない。

「アントン、一般人がワーレン艦隊の旗艦に乗っている、本来有り得ない事だ。誰かが手引きした、或いは便宜を図ったのは間違いない」
俺の言葉にアントンがまた顔を歪めた、しかし続けなければならない。
「しかもワーレン提督は地球討伐の命を受けて翌々日にはオーディンを発っている。それほど時間が有ったわけじゃない。連中、軍にもかなり浸透している可能性が有る……」
益々表情が歪む。

「そうだな、ギュンター。卿の言う通りだ、ローエングラム公もそれを心配していた」
「そうか」
「その件については憲兵隊が担当する事になった。俺達は要人の家族の警護、それと地下に潜ったであろう地球教徒の焙り出しだ」
アントンが溜息交じりに言った。なるほど、楽な仕事じゃない。
「先ずはボルテックを絞り上げるか……」
「そうしよう……」
また溜息が出た……。


帝国暦 489年 7月 4日   フェザーン    ルドルフ・イェーリング



『我々の動きは気付かれていますか?』
「いえ、まだ気付かれていません。フェザーン人は皆、帝国軍の動きに気を取られているようです」
『なるほど、それはそれは……。それでフェザーンの状況は?』

「多少混乱しています。自治領主府はフェザーンと地球教は何の関係もない、今回の一件はフェザーンを不当に陥れようとする帝国の言いがかりだと主張しています」
『……』
スクリーンに映る親っさんは微かに笑みを浮かべている、スウィトナー所長もだ。二人とも機嫌は良さそうだけど、傍で聞いている俺の方は緊張しっぱなしだ。

「多くの住民がそれを信じている、或いは信じたがっていますがその一方で帝国軍が現実にこちらに侵攻してきています。順当に行けば今月末にはフェザーンに到着する、それに同盟がこの件に関与しないと発表しましたので本当に大丈夫なのかと怯えている人間も居ます。まあ最終的には金でかたが付くのではないか、皆そう思っているようですが」
スウィトナー所長の答えに
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ