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記憶の奏
記憶の奏〜2
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その場所に向かっている時、イチノの光に混ざって黒い光がチラチラと点滅していた
今思えば、その光を見たときにイチノを連れて逃げるべきだった
次の廊下の角を曲がれば先ほどイチノと敵の光が見えた所だ
しかしイチノの攻撃が少し前から止んでいるが、まあイチノの事だ
もう敵を倒してしまったのだろう
そう楽観的に考え俺は廊下の角を曲がった
しかしそこに倒れているはずの敵はおらず、代わりに倒れていたのは
血にまみれたイチノだった
そしてイチノの先には黒色のローブを纏った精霊がいた
その姿は禍々しい雰囲気を漂わせ、吐き気がするほどのプレッシャーを放っている
「ふーん、ひとりでボクに挑むからどれ位強いのか期待したけど…大したことないね」
精霊は圧倒的な余裕を見せイチノを見下ろしている
「ゲホッ、まだ…負けま…せん」
イチノは足に力を入れ、立ち上がろうとする
「アハハ、いくら立ち上がったて君じゃあボクには勝てないよ」
そう言うと黒い精霊はイチノの首を絞める
「くぅっ、わ…たしは、負けない…」
「チッ、いい加減諦めなよ、君じゃあボクには勝てないって言ってるだろっ!」
黒い精霊はイライラとした口調でイチノを投げ捨てる
それを見た俺は素早く落下地点に潜り込み、イチノを受け止める
「イチノっ!」
「マ、マスター」
イチノの呼吸がとても荒い、怪我もひどすぎる
「おやおや、飼い主さんのご登場かい?、だけどもうフィナーレの時間なんだよね」
「キサマ、なぜこんなことをっ、何が目的だ!」
俺は精霊に問いかける、
「目的なんかないさ、ただボクのご主人様がここを壊して楽しませろといったから、それだけだよ」
「ひどい、こんな事って…」
「ひどい?、まあボクのやった事はひどいかも知れないけど、ご主人様が楽しめるなら誰が傷つこうとボクの知った事じゃないんだよね」
「まだ、終わってなんか…いません」
イチノは立ち上がり言い放つが、その足はもうフラフラだ
「イチノ!、無理をするなッ」
「アハハハ、可哀想だから飼い主と一緒に滅ぼしてあげるよ」
死神は自分の周りに黒い塊を出現させ徐々に大きくしてゆく
「くっ、マスター…ごめんなさい」
「おい…イチノ?」
イチノは俺を突き飛ばし呪文を唱え始める
すると俺の体は光に包まれてゆく
それはイチノの転移術の光によるものだった
「イチノっ!」
「大丈夫です、私はマスターのパートナーなんですから、必ず逃げ延びてみせます」
イチノはとびきりの笑顔を見せてくれる
「イチノォォォォォォッ!」
俺は必死に手を伸ばすがイチノの転移魔法によって手が、足が光の粒子となって消えてゆく
「さよなら……」
イチノが最後につぶやいた言葉は懐かしい言葉だった
「……お兄ちゃん」
黒い精霊の攻撃の物であろう攻撃の
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