妨害
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キリトが馬鹿でかい声を上げた。いきなり叫ばれたことでゲツガも頭にある耳を抑えてうるさそうにしていた。
「キリト、叫ぶんなら言ってくれよ。耳と心臓に悪いぞ」
「すまんすまん」
キリトは軽く謝ってから真剣な表情に戻してサラマンダーの方を見る。
「指揮官に話がある!!」
キリトがそう叫ぶとランス隊の輪が割れて二人の男が出てくる。一人は大柄な戦士。もう一人はこの中で唯一鉄の防具ではなく革の防具を着ている少年戦士。その二人が出てくるとゲツガと、キリトは翅を広げてその男たちの前まで飛ぶ。
「スプリガンがこんなところで何をしている。どちらにせよ殺すがな」
「まあまあ、ジンさん。落ち着いてこいつらの話を聞いてみようよ」
少年はにししと笑いながら言う。そう言うとキリトはゲツガは互いの顔を見合わせた後、キリトが代表して話す。
「俺の名はキリト。スプリガン=ウンディーネ同盟の大使だ。こいつは俺が傭兵として雇ったケットシーのゲツガ。この場を襲うからには、我々四種族との全面戦争を望むと解釈していいんだな?」
うわー、そんな馬鹿でかくした嘘かよ……。
そう思うがこれぐらいじゃないと、サラマンダーたちは怯まないだろうと考え、頷いた。それを聞いたジンと呼ばれていた男と少年は少し驚く。しかしすぐに表情を戻した。
「ウンディーネとスプリガンが同盟だと……?」
「聞いたこともないけど、ホントなの?」
キリトとゲツガは頷く。
「護衛が弓兵一人しかいない貴様が大使というのか?」
「ああ、そうだ。この場にはシルフ、ケットシーとの貿易交渉に来ただけだからな。だが会談が襲われたとなればそれだけじゃ済まないぞ。四種族で同盟を結んでサラマンダーに対抗することになるだろう」
しばしの沈黙が蝶の谷を覆う。
そして
「たった二人、たいした装備を持たないスプリガンとじゃじゃ馬と呼ばれる弓を持つケットシーの貴様らの言葉を、にわかに信じるわけにはいかないな。バルダ」
「あいよ、ジンさん」
二人のサラマンダーはそれぞれ武器を取り出す。大柄なジンと言われる男はキリトやゲツガの身の丈もある両手剣を抜き放ち、もう片方の少年のサラマンダーは少し大きめの短剣を取り出した。
「俺(僕)の攻撃を三十秒耐え切ったら、貴様ら(君達)を大使と信じてやろう(もいいよ)」
「ずいぶんと気前がいいね」
「ああ、わかりやすくて実に俺好みだ」
そう言ってキリトは剣を、ゲツガは弓を構える。
「ジンさん。僕は何時も通り、弓使いをあいてさせてもらうよ。こっちの方が得意分野だし」
「いいだろう。だが、遊ぶんじゃないぞ、バルダ」
「わかってるって。じゃあ、弓のお兄さんは
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