第一物語・後半-日来独立編-
第二十三章 変化の始まり《3》
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日来の各区域に発生していた揺れは消え、代わりと言うように唸り声のような音を立てて上昇を始めた。
巨大な四角形のそれは一斉に浮き上がり、砂煙を立たせ吹き飛ばす。
地上に残る大道は上昇の際の衝撃により崩れ、区域のあった四角形の穴のなかへと崩れていった。
黄森の戦闘艦はこの異常事態に黄森へと連絡を飛ばし、何とか食い止めようと砲撃を再開するがやはりと言うべく防御壁で防がれる。
映画面|《モニター》に映る機械人形の仕業だとすぐに解ったが、如何せんドラゴン級戦闘艦の強化された主砲を防ぐ壁をどうにかするなど、今の自分らではどうにも出来ないことは解りきっている。
ただ、しかし、どうにかしたい気持ちと諦めたくない気持ちが自分達を動かす。
敵には敵の、自分達には自分達の譲れないものがある。それで一人の少女を殺すことだとしても、それが悪だとしても、それは自分達を守るためなのだ。
砲撃が放たれる度、隊員達の雄叫びが響く。
貫けと、破壊しろと、越えて行けと。
対するように数メートル上昇した日来の各区域を守るように、防御壁が表示され砲撃を受け、衝撃を殺して自身は拡散する。
青い塵が雨のように地上に降り注ぐ。
五分間の戦いが終わっても、まだ戦い自体が終わったわけではない。上昇する各区域にいる隊員は制圧行動を続行している。
「俺達が諦めるわけにはいかねえんだよ」
「そうだ! 行くぞお前ら!」
「「お――!!」」
『『お――!!』』
隊員の誰かが声を上げ、映画面で仲間達の士気を上げる。
上昇で生じる轟音に負けず、その声は離れた区域にも届く。
士気が上がり、動きが良くなる敵を日来の学勢や社交院の者達が必死に食い止める。
取り押さえられた仲間も、日来の上昇で生まれた隙を突いて幾人か助けることが出来た。
だが士気が上がっている彼方を防ぐのは容易いものではなかった。
「俺達も負けてられねえぞ!」
「学勢の力、見せ付けてやるよ」
「社交員も若者に劣るなよ!」
「押して押して押しまくれえ!」
こちらも士気を高める。
日来勢は防御盾を展開し、迫る黄森の隊員を押し返す。力で押す日来勢に対し黄森も力で盾を押し返し、若い隊員は仲間の背を踏み盾を飛び越えて行く。
高さは数十メートル以上に昇り、なおも区域は上昇を続ける。
穴の空いた日来があった土地には区域の改造の後が見られ、その証拠に穴の底まで金属で土を固めている。
四角形の区域の底には巨大な加速機が装備されており、大出力で大気を下に押して自身を上へと押し上げる。
上に行くために生まれた衝撃は機械人形が重力力場を操作し、あらゆるものが衝撃により振られ落ちないように支える。
見えないものに支えられているような不思議な感覚を得ながら、景色が下
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