第一物語・後半-日来独立編-
第二十三章 変化の始まり《3》
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
微笑む程度に皆は笑う。
こんななか地面の揺れは徐々に大きくなり、揺れはこの場にいない者達にも確かに伝わった。
ある者は地震ではとか、ある者は崩壊の進行が始まったのかとか、そして物事をきちんと把握している者は日来が動くのだと脳裏によぎった。
そして一回、地面が跳ねるような大きな揺れが来た。
「じ、自分の肉が激しく揺れていますよ!」
「天布の肉という肉が激しく上下して、あんた誰ですか状態ですよ――!」
「美兎が壊れたわ! お調子巫女がぶっ壊れ巫女に昇格よ!」
「灯殿の胸が上下して美琴殿にアタックしてるで御座るが」
「揺れる巨乳は眼福だ」
「駆逐!」
皆が揺れでおかしくなるなか、テイルの足蹴りを腰に受けたグレイが遠くへ吹き飛んだ。
揺れが日来全土に広がり、この揺れは各区域に混乱をもたらした。
共鳴するかのように揺れは止まることなく、揺れに対して揺れで押し返す。
「さすがにこれはやり過ぎだと思いますわよ!」
「派手好きなのか結構なことさ!」
「入直は豪快なのが好きだからね」
「……それには同意だ……」
「継叉とジューセンは至って冷静ね」
「そんなお前も同じだな」
揺れをものともしないトオキダニが、同じく激しく揺れながらも余裕な恋和を見る。
そんなトオキダニの背には、左に髪を縛ったサイドテールの空子がしがみ付いている。
「角張ってて乗り心地最悪ダ」
「機竜系破族は皆こうだ、この良さが解らぬとはな」
「誇れるのは頑丈さだけネ、少しは学ぶんだナ」
「この程度の揺れで慌てているような、ちっぽけなお前とは違うからな」
「リュウは浮いてるから分からないぞー」
小さい辰型の竜が、宙に円を描きながら飛んでいる。
地面から離れているため揺れの影響が無く、それは上空にいる戦闘艦も同じだ。
突如の揺れにより、彼方は下手に動かず空に漂うだけだ。砲撃も効果無しと判断したのか何時の間にか止んでいた。
地震のような揺れが続くなか、日来全土に映画面が表示された。
それが告げるものは、
『準備完了致しました。皆様、防衛ご苦労様です。これより日来は上昇し、船へと変形を始めます』
五分間の戦いは終わった。
機械人形である“日来”が映る映画面が幾つも表示され、日来の後ろには榊が立っている。しかし先程までと違う所がある。
二人の後ろ。明るく照らされ、そこには無数の機械人形が自身の役目を果たすべく、各自日来の変装の準備のために映画面に指を走らせている。
『安全確保のため重力力場を発動。敵様も含む皆様、日来はこれより上昇致します。バランスを崩さぬよう、万が一のため固定されたものなどを掴み揺れに備えるようお願い致します』
それでは、
『日来、上昇致します』
この声と共に日来は空へと上がっていく。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ