第一物語・後半-日来独立編-
第二十三章 変化の始まり《3》
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ばならない。
突っ込みたくなったがここは我慢した。だから代わりに口を動かすことにする。
「大体何体いるんだ、機械人形は」
「一応今は三百体程度ですかな。これが作れる限界だったので」
「まあ、幾ら技術に特化している日来でも今後のことを考えるとそれが限界か」
機械人形は神騎と同じ価値があるため、作るのに必要な材料は必然とレアなものとなる。しかし、日来の修理のことも考えるとあまり多く作ることは出来ない。
これから増やせるかは分からないが、今はこの数で事足りる筈だ。
耳障りな砲撃の音が気になる。苛立ちから頭を荒く掻いた。
「全く空がうるさいな」
「頑張って頑張ってえ、残り一分半だよ」
「なんか上機嫌だなお前」
左右に軽くマギトが揺れている。機嫌が良いときはこうなるので目印だ。
何時もの笑顔のまま、翼人族特有の背に生えている翼も軽く動かしている。
何かするのかと思ったが、そうではないようだ。
「だって久し振りに全力で翔べるかもだからねえ」
「翼人族はある程度翼を使わないとストレスを感じるんでしたっけ」
美兎が言う。
「そうなんだよ、あまり高く翔ぶとお叱り受けちゃうからね。戦闘なら自由に翔んでも大丈夫」
「お前そんなに争い事好きだったか?」
「こう見えて案外たぎる方」
以外な答えだ。マギトは女性らしいところしか見たことがないので、勝負事に熱くなるとは男らしいところもあるのだと思った。
自分は戦闘はなるべく避けたい。戦う力も無いし、気力も無いからだ。
辰ノ大花では戦闘に巻き込まれないようにと、心のなかで祈った。
「ねえ、何だか地面揺れてない?」
テイルが地面を指差した。
皆は地面を見て、揺れを確かめるように黙り込む。
耳に遠くから音が届くがこれは違う。五分間の戦いで発せられている声だ。空からは艦の加速機の音が響く。
だが地震の予兆なような、微かな揺れは微弱ながら感じられる。
「一分近くなってるからね、起動の準備に入ったんだろう」
目を細めた笑みのまま、神崎が地面を見ながら言った。
黄森の方はさすがに焦りの色を見せ、今まで以上の勢いで攻めて来る。
この社交領にも艦の砲撃や、隊員が迫って来たが砲撃は防御壁で、隊員はセーランが流魔操作で隊員を流魔線に繋いで遠くへ投げ飛ばして防いでいる。
しかし時間が経つにつれ、ここへも良く攻めてくるようになって、やけになったセーランが流魔線で乱舞をかましている。
皆はそんなセーランを他所に、地面の揺れを確かめながら残りの時間を過ごす。
「よく気が付きますね。この一組で一番背の低い私でも気付きませんでしたよ」
「物事の変化には敏感なのさ!」
小柄なロロアにテイルが自信たっぷりに胸を張る。それに関心してか、おお、とロロアが声を漏らした。
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