第一幕その五
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ンカートンに忠告するのであった。
「それを良く憶えておくのだな」
「よくわからないけれどわかりました」
ここでもピンカートンの返事は軽いものである。
「さて。もう何もないみたいだけれど」
「あの」
ピンカートンが宝物が何もないのを確かめているとそこに蝶々さんがまた声をかけてきた。
「何かな」
「実は昨日」
「うん」
「教会に行って来たのです」
「教会にかい!?」
「はい」
蝶々さんはおずおずとした小さい声で言ってきたのだった。彼にだけ聞こえるよう小さな声で。
「誰にも言っていませんが」
「ということはつまり」
これが何を意味するのかはもう言うまでもなかった。ピンカートンはそれを聞いて納得した顔になって頷くのであった。
「はい。アメリカはクリスチャンですよね」
「勿論そうだよ」
ピンカートンにとってはこれは当然のことである。しかし日本ではキリスト教は解禁されたばかり。教会もこの長崎にやっと出来たばかりだったのだ。
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