§45 魔神来臨
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ディオニュソス。ラファエル。マモン。カイム。テュール。アーリマン。シャマシュ。ヤマ。スーリヤ。少名毘古那神。月読。不死鳥。八雷神。火之迦具土。酒呑童子。大国主命。過去を……」
詠う。一言事に、周囲の空気が重くなっていく。黎斗の髪から色素が抜け落ち白くなる。髪が伸びる。肌も青白くなり、華奢な身体も相まって、死人のようにしか見えなくなる。そして、それが言いようのない悪寒を感じさせ斉天大聖の背筋を襲う。
「大兄!!」
「応ッ、させぬわ!!」
牛魔王の放つ灼熱の火焔が、大地を舐める様に焼き尽くす。溜め時間無しで即発動するそれは、仁王もろとも黎斗を焼き尽くそうとして――
「何ィ!?」
――掻き消えた。そして、見る間に大猿達の石像が人へと戻っていく。餓鬼達が、子鬼達がそれを回収し、呆けている神々の合間を縫って、何処かへ揃って消えていく。
「終わりだ!!」
異変の元凶たる黎斗を始末せんと、気配を断って背後に白龍が回り込む。丸飲みにしてやろうとしたのか口を大きく開けて、黎斗の影から噴き出る邪気に呑み込まれた。
「な、何が……?」
呆然とする教主。呆然としない者など、この世の何処にも存在しない。黎斗の呪力が傍目にわかるほど周囲に漏れ出しているのだから。それも”神”の気配と共に。
「がああああああ!!!?」
絶叫が聞こえること数秒、悲鳴は聞こえなくなり、黎斗の影は普通に戻る。普通と言っても邪気を拡散しているということを除けば、だが。
「雑魚は消した。さて……」
唖然とする斉天大聖の真横を、灼熱の熱線が通過する。絶大な熱量は、周囲を蒸発させつつ一瞬にして混天大聖を消滅させた。付近を巻き添えに根こそぎ吹き飛ばす光の柱は、一筋の光に集約されており周囲に影響を全く与えない。普段以上の精度だった。次いで放たれるもう一つの熱線。こちらは黎斗の背後の人型の額から。かつて黎斗を瞬殺したその熱線は法師を呑み込み――やはり消滅させた。余波で吹き飛ぶ斉天大聖を尻目に、黎斗は一人、宣告を下す。
「殲滅せよ」
虐殺が、始まる。黎斗の周囲から生まれた”ナニカ”が、動き出す。
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