§45 魔神来臨
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混天大聖と空中でぶつかり合う冥王も、移山大聖と格闘する羅濠教主も、その巨大さに息を飲む。
「飲み込め」
覆海大聖の一言と共に、大海粛が襲い来る。それは全てを水底に沈めんとする破壊の権化。
「――」
山すら余裕で飲み込む大洪水は、一瞬にして蒸発した。水蒸気が大量に生み出され行き場を無くして荒れ狂う。
「なんだよ。死んでねぇのか」
覆海大聖が残念そうに呟く。視線の先には、再生している最中の黎斗。
「あっぶねー……」
冷や汗を流しつつ黎斗は胸をなで下ろす。今の平天大聖が数キロ程度。かの神を飲み込む津波など直撃したら都市は壊滅だ。
「いくぞ甥っ子!!」
「だから、僕を、甥と呼ぶな!!」
だが脅威は終わらない。亡霊を抜けて、紅劾児と斉天大聖が襲い来る。喧嘩腰の口調とは裏腹に、息のあった連続攻撃は、黎斗に反撃の手を与えない。
「二人がかりかよ!!」
斉天大聖が三面六臂化していることを考慮すると実質四対一。闘神をこれだけ相手取るのは正直キツい。
「周りは!?」
アテナはペルセウスとランスロット、アレクは羅刹女で手一杯だ。
「ドニの野郎は何処だ!?」
「うん? ここだよー?」
「ッ!?」
背後からの声。気付いて回避に移るが、それは致命的に遅すぎた。完全に意識の外から振るわれた一撃は、黎斗の身体に綺麗に吸い込まれていく。
「――!!?」
声にならない声が黎斗の口から漏れる。だが、ヤマの権能は倒れることを許さない。超再生が、瞬時に黎斗の傷を塞ぐ。
「……ふむ。破魔の主は流石に死なぬか。――ならば。死ぬまで殺すのみよ」
斉天大聖の宣告と共に、如意棒が、火尖槍が、次々と黎斗の身体に突き刺さる。シャマシュの権能が斉天大聖に同じ傷を与えるも、首を切り落とされても生え替わるかの神には大して効いていない。
「くっ、この程度の傷で……!!」
寧ろ中途半端な傷を与えたことで紅劾児が激昂、もはやその槍捌きは闘神達に劣らない。
「まだまだ行くぞ!!」
斉天大聖は叫ぶと同時、己の毛を抜いて投げる。毛が、斉天大聖の姿に化ける。斉天大聖達は己の毛を抜き、投げる。――それは、終わらない増殖戦法。変化しないのが救いだ。おそらく変化しないのは、呪力の消費が激しいからだろう。邪眼の力を宿した領域は粉砕されたとはいえ、再び構築することは不可能ではない。そして、そこで呪力を大量消費すれば、邪眼を防ぐための力すら失われる。
「冗談じゃねぇわ」
空間跳躍により袋叩きから逃げた黎斗がぽつり、と呟く。事態は最悪だ。斉天大聖を捕縛し、大猿を解呪。民間人を記憶操作した後に斉天大聖を再封印。最善の終幕は潰えた。
「慢心し
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