§45 魔神来臨
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爆発は吹き飛ばされて。結果、破壊光線を以てしても神を撃ち滅ぼせないという現実が突きつけられる。それでも、目くらましという最低限の役割は果たされた。
「いくぞ斉天大聖!!」
全員が破壊光線に気をとられた隙に、亡者たちは神々に、黎斗は斉天大聖に突撃する。
●●●●●
「くっ……!!」
神速を遙かに凌駕する速度で天から斉天大聖が急降下する。直後、かの神のいた場所を、空間をも引き裂く極太の光が通り過ぎた。
「ぐわっ……!!」
直撃こそは防げたものの、凄まじいばかりの破壊の余波が大聖を焦がし、彼方へ吹き飛ばす。
「舐めるなぁ!!」
この光景に平天大聖が暴れ狂う。際限なく巨大化した牡牛の一撃は圧倒的で、足を振り下ろした衝撃が既に地殻変動を引き起こす威力。息吹は眼前の矮小な存在を容易く消し飛ばす衝撃波。
「やっぱコイツが問題か……!!」
舌打ちする黎斗の頭上を翔る、億を上回る亡霊の集団は、化け物牛の鼻息一つで消滅する。軍勢が地を這い攻め寄せるが、足踏み一つで衝撃波が起こり、やはり近づく前に消し飛ばされる。
「たたっ斬ろうにもデカすぎる……!!」
巨大化し続けた牛様は、もはや富士山が小さく見える。当然足も図太く、黎斗のワイヤーや槍、剣では決定打には成り得ない。
「――くっ!?」
前方から飛来する巨大な柱。否、牛の足。速度・範囲ともに広大で回避は不可能。やむを得ず相棒を突き出し防御の構え。
「うえっ」
重い一撃だと、想像していた。だが現実はなお重く、全身を砕くような衝撃と共に、天高く打ち上げられる。急激な浮遊感に一瞬気を取られ、前を見れば牛を頭上から見下ろす形に。
「息子だけと思うなよ。ハァ!!」
視界が炎で朱く染まる。神仏すら焼き払う奈落の劫火、三昧真火。範囲は広大過ぎて、黎斗は回避を諦めざるを得ない。
「いっ!?」
避火訣を唱え寸前で防ぐ。こちらが同じ術を使ったところで規模が違いすぎて競り負ける。だが防戦一方になるわけにはいかない。
「契約により我に――」
呪力が、うねる。落下しながらも火中の黎斗が無傷であることを悟った斉天大聖の行動は早い。
「如意棒!」
「其は――ガッ!?」
瞬時に伸びた猿の得物は、容易く黎斗の結界を破壊し、彼の五臓六腑を押しつぶす。直後、圧倒的な火力が黎斗の身体を消し炭に変えた。
「……めんどくせぇ。かったりィ。アニキ、こいつら全部押し流すわ」
傍観していた覆海大聖が手を翳す。それだけで濁流の音が聞こえてくる。平天大聖をも上回る、山すら飲み込む規模の津波が襲来する。二郎真君が放ったものよりも、なお大きい。
「「……!!」」
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