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魔王の友を持つ魔王
§45 魔神来臨
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 藤蔓で鉄を無力化した神様(しりあい)を黎斗は持っている。尤も、彼は数十年前に消滅したが。鉄を操る洩矢神に挑んだ建御名方神は、藤蔓で錆びつかせ無力化した。これを茨で行っただけだ。予想外の攻撃であるがゆえの心理的動揺、防御の甘さなどが重なって無視出来ない攻撃となる。起点となっている茨のルーンは既に茨の海の中で見つけ出すのは至難の業だ。

「こ、れ、でっ、終わりだ!!」

 空気を勢いよく吸い込んで、吐き出す。三昧真火。神をも焼き殺す地獄の焔は茨を媒介に、斉天大聖と二郎真君の全身をあまねく焼き尽くさんと凶悪な力を発揮する。

「ぐおおおおおおおおおおお!!!」

 絶叫する斉天大聖の声が、確実にダメージを与えていることを示している。だが、沈黙する二郎真君の存在が、黎斗に警戒を解かせない。油断して殺されるわけにはいかないのだ。

「追撃するか。……我が元に来たれ、勝利の為に。不死のたいよ――」

 いつもの如く護堂から”白馬”を拝借しようとして、有り得ない光景に硬直。黎斗の目の前に凄まじい高さの水の壁が出現していた。高層ビル群と同じくらいの高さではないだろうか。もっとも焦土と化したこの戦場では比較対象が存在しないためわからないのだが。

「なん……!?」

 重力に従って自由落下を始める水は、その圧倒的な質量が凶器となり。

「ちょ!!」

 瞬時に避水訣を唱えた黎斗の周囲を、水が押し潰し、押し流す。これでは三昧真火も消化されてしまっただろう。

「ひでー。せっかく人が頑張ったのに……」

 肩を落としている魔王を前にしても、二郎真君に油断は無い。己を封印した張本人を前に油断などする暇などどこにもない。

「やはり貴様は油断できない。全力で、潰す」

 宣言した二郎真君の纏う気配が恐ろしくなる。一気に膨れ上がる呪力の感覚は、斉天大聖が義兄弟を呼んだ時と同様の者で。

「おまえ!!」

 阻止しに黎斗が動こうとするも。

「ほう。貴様も眷属を呼ぶか。ならばこちらも呼ぶとしよう」

 斉天大聖が告げた言葉は衝撃的で。一瞬黎斗は反応出来なかった。

「……え」

「貴様も呼ぶか。愉しいのう。昔を思い出すようだ!! それに、これだけ神殺しがいるのに呼ばないのは義兄上に怒鳴られるわ」

 義理の兄。「孫悟空」に兄などいただろうか。「孫行者の方」にはいたかもしれないが。

「義兄……?」

 いやな予感が黎斗の脳裏を横切って。妨害しようとした瞬間。

「いくよー!!」

 銀に煌めく斬撃と。

「ゆくぞ!!」

 銀に瞬く矢の一撃が。

「お前らふざけんな!!」

 息の合ったコンビネーションに強襲される。更に、全てを切り裂く白銀の一撃は、とうとう冥界
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