プロローグ・・・のようなもの
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時刻は深夜の十二時。
ある街のはるか上空にひとつの黒い裂け目が生まれた。
そしてその裂け目はどんどんと広がっていき、中から背の高い青年と、大分背は低く、髪の長い女の子が出てきた。
二人はその場に地面でもあるかのように普通に空に立つ。
「・・・ここが最後の・・・場所」
少女はどこか感慨深そうに呟く。
するとその声を聞いた青年は少しだけ表情を変えた。
「でも、アイツ等のことだから信用はできないよ」
そう言って青年はどこか遠くを見つめる。
そして二人の間に沈黙が続く。
「ねえ・・・」
沈黙を最初に破ったのは少女の方だった。
少女は遠くを見つめる青年を見上げ、悲しそうな表情をする。
「・・・やっぱ、信じられない・・・?」
あたりが暗いからか、少女の表情は伺えない。
が、少女が言う言葉はどこか心配そうだった。
「・・・うん。僕はもう、アイツ等を信用することは、できない」
青年がそう言うと、少女は顔を俯かせた。
「・・・全部、わたしのせい・・・だよね・・・」
その言葉に青年はビクッと体を揺らし、少女に向き直る。
「それは違うッッ!僕はただ、過去に囚われて今を見ないアイツ等を・・・そしてどこか怯えたような目で見てくるやつらが信じられないだけだッ!
だから・・・だからそんな事を言わないでくれ・・・!」
そう言って青年はギュッと少女を抱きしめる。
青年と少女の背丈は大分開いており、少女の体はすっぽりと隠れてしまう。
「・・・ねえ、苦しい・・・よ」
その言葉で強い力で抱きしめていたことに気がつき、少女を解放する。
「いつまでもここにいると冷えてしまう。早くこの世界で用意された僕たちの家へ帰ろう?」
「・・・まだ報告・・・きて、ない。もうちょっといよ・・・?」
少女はいつも通りの青年に安心し、用事が済むまでこの場にいようと伝える。
その言葉で青年はまたイラついた表情をする。
「そういえばそうだね・・・。またそっちに移るのか、アイツ等は」
「多分・・・ね。あの人たちはわたしの力を・・・そしてわたし自身を恐れている・・・から。本当はわたしの近くにいることさえ許しがたい・・・のに・・・ね。これが最大・・・の譲歩、なんだよ」
「ほんと、それが気に食わないんだよ。僕たちは同じくらいの力を持ってるのに、アイツ等は僕だけを過保護に扱う」
「しょうがない・・・よ。わたしは一度、この力を暴走させて、破滅へ導いた・・・から。あの人たちを殺したのは、わたし・・・だから」
少女はそう言ってその場に座り込み、膝を抱え込む。
それを見た青年はもう一度、今度はさっきのように力を入れすぎないように優しく包み込む。
「それ・・・に、今はシズクがついていてくれる
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