暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
表と裏
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てね」

レンはなぜかパタパタさせていたマイの手をキャッチし、その細い人差し指を移動させ、勘で可視モードボタンがあると思われる辺りをクリックさせた。

狙い違わず、短い効果音とともにウインドウの表面に見慣れた画面が浮かび上がってきた。

基本的に他人のステータスを盗み見るのは重大なマナー違反であるため、こういった状況であってもレンは極力画面に眼をやらずにアイテム欄のみを素早く開こうとしたのだが――

「……は、はぁ!?なにこれ!?」

画面上部を視線が横切った瞬間、驚きの言葉が口をついて出てきた。

メインメニューウインドウのトップ画面は、基本的に三つのエリアに分けられている。

最上部に名前の英語表示と細長いHPバー、EXPバーがあり、その下の右半分に装備フィギュア、左半分にコマンドボタン一覧という配置だ。

アイコンなどは無数のサンプルデザインから自由にカスタマイズすることはできるが、基本は位置は不可変である。のだが、マイのウインドウの最上部には《Mai−BBSCP001》という奇怪なネーム表示があるだけでHPバーもEXPバーも、レベル表示すら存在しない。

装備フィギュアはあるものの、コマンドボタンは通常と比べて大幅に少なく、わずかに《アイテム》と《オプション》のそれが存在するだけだ。

息を呑むレンと対照的に、マイ本人はウインドウの異常など意に介せぬふうで、不思議そうな顔でレンの顔を見上げている。

「これも……バグ…………?」

いや、バグというより、どちらかと言うともともとこんなデザインになっているように見える。

だが、これ以上考えても仕方がないか、とレンは軽く肩をすくめ、改めてマイの指を動かし、アイテム欄を開かせた。

その表面にテーブルから取り上げたセーターを置くと、一瞬の光を発してアイテムはウインドウに格納された。

次いでセーターの名前をドラッグし、装備フィギュアへとドロップする。

直後、鈴の音のような効果音とともにマイの体が光の粒に包まれ、淡い空色のセーターがオブジェクト化された。

「わあ!」

マイは顔を輝かせ、両手を広げて自分の身体を見下ろした。

レンは更に薄若葉色のスカートと黒いタイツ、ピンク色の靴を次々と少女に装備させ、最後に元々着ていたワンピースをアイテム欄に戻すとウインドウを消去した。

すっかり装いを改めたマイは嬉しそうに、ふわふわしたセーターの生地に頬を擦りつけたりスカートの裾を引っ張ったり、くるくる回ったりと忙しそうだ。

「さ、それじゃあ行こっか」

「うん!」

途端に差し出される手。

レンは一瞬驚き、その後照れたように苦笑しながら少女の差し出された手のひらを、優しく包み込むように握る。

そして互いに顔を
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