暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
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それは──この少女を手放したくない、というもの。
レン自身にも、この感情がなぜ発生したのか、理解ができていなかった。
それまでレンは、自由気ままな一人暮らしを満喫していた。それを手放してまで、なぜこの少女を手放したくなくなってきたのか、全く判らない。
そんなことを思っていると、真っ白い少女がきょとんとした顔で、どうしたの?と訊いてくる。
「あ……い、いや。なんでもないよ。そ、それよりマイちゃんのパパを探しに行こう?」
「マイの?」
「うん」
純白の少女は、にっこりと笑って頷いた。この少女には基本的に疑う、という感情がないらしい。
ソファーを飛び降りるように降り、パタパタとこちらに駆け寄ってきたマイの頭を撫で、アイテムウインドウを開く。
少女の纏う白いワンピースは短いパフスリーブで生地も薄く、少女の髪の色も手伝い、初冬のこの季節に外出するにはいかにも寒そうだ。
もっとも、寒いと言ってもそれで風邪を引いたりダメージを受けたりということはないのだが──氷雪エリアで裸になったりすれば話は別だが──、不快な感覚であることに変わりはない。
レンはアイテムリストをスクロールさせて、昨日のうちに買い込んでいた厚手の衣類を実体化させ、その中から適当にセーターを引っこ抜いたところで、はたと動きを止めた。
通常、衣類を装備する時はステータスウインドウから装備フィギュアを操作することになる。
布や液体などの柔らかいオブジェクトの再現はSAOの苦手分野であり、衣類は独立したオブジェクトというよりは肉体の一部として扱われているからだ。
マイに訊いてみる。
「マイちゃん、ウインドウって開ける?」
案の定、真っ白な少女は何のことか解からないように首を傾げる。
「じゃあ、右手の指を振ってみてよ。こんなふうに」
レンが指を振ると、手の下に紫色の四角い窓が出現した。それを見たマイはおぼつかない手つきで動きを真似たが、ウインドウが開くことはなかった。
「………やっぱり何かのバグなのかなぁ。でも、ステータスウインドウが開けないってのはヤバすぎるなー。何にもできないじゃん」
レンがポリポリと後頭部を掻く。
その時、むきになって右手の指を振っていたマイが、今度は左手を振った。途端、手の下に紫色に発光するウインドウが表示された。
「でた!」
純度二百パーセントの笑顔でにっこり笑うマイの眼前で、レンは一人頭を抱える。もう何がなんだか、解からない。
「マイちゃん、ちょっと見せてねー」
レンはかがみ込むと、少女のウインドウを覗き込んだ。
だが、ステータスは通常本人にしか見ることができず、そこには無地の画面が広がっているだけだ。
「ちょっと手を貸し
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