暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
表と裏
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吹きかけている(猫舌?)少女の名前はマイ。

初めて目にする瞳の色は、なんとも珍しい金銀妖瞳(ヘテロクロミア)だった。

噂では、かなりのレアドロップ品で手に入るとか入らないとか。

「んー、じゃあマイちゃん。何であんなとこで漂流してたか覚えてる?」

レンがさりげなく、一番重要なことを訊く。だが、マイはしばらく沈黙を続けたあと、ふるふると首を動かす。

「………わかんない。なんにも、わかんない」

「う〜ん」

重要なことが解からない。今のところ解かったのは、名前くらい。

「じゃあさ、マイちゃんのお母さんとか、お父さんとかって覚えてる?」

「あっ、うん。パパがいるんだよ。それと双子の妹もいるんだよ」

「そ、そう!じゃあさ、どこにいるかは覚えてる?」

マイは再び難しい顔で黙り込む。メイドNPCがテーブルの上からカップを取り上げ、再びココアを満たして目の前に置いても身じろぎもしない。

やがてマイは顔を上げると、プルプルと首を振る。

「そっかー………」

「でも………」

「ん?でも?」

マイは急に神妙な顔をし、こちらを見ずにテーブル上に置かれたカップをじっと見つめている。

「なんか……白いところにいたかも…。そこでマイとユイは眠ってたんだよ」

「ユイってゆーのは?」

「さっき言った、マイの妹のお名前なんだよ」

「へぇ〜」

レンは口では相づちを打ちながら、頭の中では今聞きだせた情報を反復させていた。すなわち、目の前に座っているマイともう一人、ユイという子は父と一緒に一所にいたのだ。

何故マイだけが一人その場所から離れてしまったのか、という疑問はこの際置いておこう。

問題はその白いところ、と言うところを見つけることだ。だがさすがにそれだけでは見つけられるわけがない。レンの職業は、情報屋ではないのだ。

「ねぇマイちゃん。パパで覚えてることとかは?」

「パパ?う〜んとね」

真っ白な少女は三度の熟考に入る。

「真っ黒なお服を着てたんだよー」

「………………………」

がっくりとレンは肩を落とす。全然全く何にも解からない。

どうしたものか。ここでレンの思考は止まってしまった。次の手がまったく思い浮かばない。

とりあえず、親と姉妹がいることは解かった。これだけでも儲け物だ。ということは、後はその両親か姉妹を何とかして見つけ出さないといけない。

だが、どうやって?

姉妹に付いては名前しか分かっていないし、父親にいたってはよく着る服の色しか分かっていない。こんな少ない情報で、本当に見つけ出すことなど可能なのだろうか?

だが、その前に、レンは自らの内に芽生え始めている感情を無視できなくなっていた。

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