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蝶々夫人
第一幕その二
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が最近の我が国の評判を落としているのだが」
 シャープレスは顔を顰めてピンカートンに忠告する。
「海軍士官だったら慎んで欲しいのだが」
「まあその程度はいいのでは」
「どうかな。それでは人生は楽しいだろう」
「勿論」
 満面の笑みでシャープレスに答える。
「楽しくて仕方がありません」
「だが最後には報いが待っているものだ」
 人生に関しての深い言葉であった。
「それを覚悟しておけ」
「何、どんなに打ちのめされても運命を取り戻すのがアメリカ人」
 しかしその忠告はピンカートンには届かない。
「ですから日本流に九百九十九年の間結婚します。何時でも自由にできるという条件で」
「全く。そんなことでは」
「まあ一杯」
 五郎に手渡された杯を手渡す。
「喉も渇いておられますね」
「まあそうだが」
「ミルクポンチかウイスキー。どちらが」
「ウイスキーにしておこう」
 そうピンカートンに言葉を返した。ピンカートンの気楽さに不安を感じたがそれを消す為でもある。
「バーボンだな」
「勿論。アメリカ人はイギリスのウイスキーは飲みませんので」
「それはいい」
 これに関してはシャープレスも同意した。その言葉を受けてピンカートンはシャープレスが受け取った盃にバーボンを入れていく。それから自分のものにも入れて乾杯をするのであった。
「合衆国に栄光あれ」
「うん。ところで」
 シャープレスは一杯飲んだ後でまたピンカートンに問うた。

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