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記憶の奏
記憶の奏
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にいいと言えなかったのだろうか
もう少し素直になれたのならば…
いや、そんな感情は俺には必要ない
戦うことに不必要なものは全て捨て去ったはずだ
それなのに俺は何故素直になれたならなどと言うくだらないことを考えてしまったのだろうか
「マスター…いえ何でもありません、それでは行きましょうか♪」
俺の心の中を見透かしたようにイチノが笑う
その笑顔に釣られて不思議と俺も笑ってしまいそうになるが
俺はその笑顔を堪えていた

私はマスターと一緒に本部の中庭に来ていました
皆さんと一緒にパーティーをするのも楽しいけど、やっぱりマスターと一緒にいる方が楽しい、こうしてマスターの側にいられる、
たったそれだけの事がとても嬉しい
「星がキレイですね…マスター」
「あぁ、そうだな…」
それ以上にはお互い何も喋らず星を見上げていました
不意に風が吹き私が身震いをすると、マスターが自分の着ていたジャケットを投げて来ました
そして何事も無かったかの様に星を見て「寒いなら何か羽織って来いよな」と言っています
こんな風にぶっきらぼうで愛想の無い人ですが心の底にはちゃんと人としての優しさがあるのだと、私は感じています
この人なら、こんな出来損ないの私を優しく包んでくれるはず…
これからもずっと、ずっと…
「マスター…、私はずっとマスターの御側に居てもいいですか?」
「…何が言いたい?」
マスターが私の真意を探るように見てくる
今なら、マスターに私の過去を話せる気がする
「私はマスターに話していなかったことがあります、どうか聞いてください、私の過去を…」
私はマスターに会う前までのことを話しました
多くの罪のない人を殺した事、命令ならどんな汚れ仕事でもした事
そして用無しになった瞬間に捨てられたこと
全部包み隠さずマスターにお話しました
そうすれば楽になれると思ったから
でも、全てを話し終えた私は楽になるどころか言いようのない恐怖に支配されていました
マスターに嫌われるのではないか、またあの時みたいに捨てられてしまうのではないか
しかしマスターは「そうか…」としか言わず、それ以降は何も言わず黙っていました
しばらくお互いに何も言わずにいるとマスターが
「お前の過去は聞くだけ聞いてやった、俺は何も言わないし何かをする気もない…俺にこれからも付いてくるなら好き勝手にしろ」
マスターが去ったあと何故か私は、全身に力が入らなくなりそのまま泣き崩れてしまいました…
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