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第十七話 お玉、フライ返し
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海鳴市翠屋。
海鳴の街で最も評判の洋菓子店である。
そこでは五人の男女が、それぞれが注文した洋菓子を食べながら談笑していた。
「美沙さーん。ショートケーキくださーい!勿論和也持ちでー!」
「あ、美沙さーん!俺も同じのお願いしまーす!勿論和也持ちでー!」
「はーい!!」
「ちょっとは遠慮しろよ!お前ら!」
エリと誠也の容赦のない追加注文に、黒髪のさっぱりした髪型をした整った顔立ちの男――高町和也――が叫ぶ。
「エ、エリちゃん……。」
「せ、誠也もちょっとは遠慮しなさいよ……。」
残る二人がエリと誠也を窘めようとするものの。
「りんかもアリスも遠慮しすぎよ。」
「そうそう。ここは和也の奢りなんだから遠慮せずに。」
「「ねー!!」」
「仲いいな!お前ら!!」
まったくもって効果なしである。不憫なり、高町和也。
「諦めろよ、和也。女の人との待ち合わせで遅刻したのが運のつきだ。」
「……遅刻は不可抗力だ。というかお前、自分の分は自分で払えよ。金持ってるだろ?」
「和也よりはあるだろうけど、たまにはいいじゃん。」
「そうよ、和也。いくら誠也が働いているからって、こんな小さい子の分も払えないなんて男が廃るわよ。」
誠也をよしよしと撫でながら和也を責めるエリ。
エリは誠也のことが気に入ったらしい。弟のような扱いだった。
ちなみに、全員がどのくらい食べたかと言うと、
誠也 三皿
エリ 三皿
りんか 一皿
アリス 一皿
和也 一皿
といった具合である。一皿三百円として計算し、これに加えてコーヒーや紅茶を加えると三千円を超えた出費である。哀れなり。
「「ごちそうさまでした。」」
二人はそろって食べ終わる。
すると和也の後ろから、二十代くらいの女性が現れる。
「はい。これ会計ね。バイト代から天引きにしておいてあげる。」
「三千四百五十円だと……。」
女性から渡された領収書には、三千四百五十円の文字があり、和也は手痛い出費に絶望する。
「あ、あの和也さん。私の分は私が払いますから……。」
「わ、私も自分の分くらい払うよ……。」
アリスとりんかが絶望しきった表情の和也にそうフォローを入れる。
「いや、いい。」
「でも、」
「気持ちは嬉しいけど、年下の女の子からそれされると本当に男が廃るから。りんかもここはやっぱり男を立てさせて。」
和也は表情を少し明るく戻し、アリスとりんかからのフォローを断る。
ちなみにその脇では誠也とエリ、そして先ほどの女性が三人で談笑していた。
「あ、美沙さん。こんにちは。」
「お久しぶりです。」
「エリちゃん、こんにちは。誠也君は久しぶりね。半年ぶりくらいかしら?」
「ええ。前回の家族旅行以来ですからそのくらいかと。」
女性の名前は高町美沙。名前からも推測できるように和
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