After days
fall
《荒野》の王
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やって来たのはゲーム内でそれを観戦するためだ。何だかんだで時間を食い、セラがその場に到着したのは大会開催の10分前、集合時間を20分遅れた時間だった。
「すいません……遅れてしまって」
「大丈夫だよ〜。まだ始まってないから」
心底申し訳なさそうに謝るセラにアスナがのほほんとした口調で応える。
「また絡まれてたの?」
「絡まれる、という表現は相手に失礼よ。向こうは力試しに挑んで来るんだから」
「どうだか……」
部屋の奥にいたリーファが半ば呆れたようにため息をつく。以前から思っていた事だが、沙良/セラは人の『劣情』に属するその手の視線に鈍感過ぎる。
沙良/セラは女の自分から見ても十分容姿の良い部類に入るだろう。
が、本人がそれを全くの無自覚なので、向けられる視線に対して若干の『不快感』を感じるだけで正確な意図を汲めていない。
最も、その意識を矯正することは出会って間もない頃に断念したのだが。
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Sideアスナ
セラが到着したので今日の《女子会》に参加するメンバーは全員揃った。
3人は並んでソファに座ると、南向きのガラス張りの窓を大型スクリーンに替える。
映し出されたのは別世界の光景。ちょうどプレイヤー達が入場しているらしく、映像はコロシアムのような場所を映し出していた。
奇しくも、それはかつて《黒の剣士》キリトと《神聖剣》ヒースクリフが相対した場所に酷似していた。
それはともかくとして、
「えっと、私達2人がどんな姿しているか知らないよ?」
「あ、そういえば……」
「まぁ、どうやら対戦形式のようですし、選手名で判断がつくのでは?」
「そうだね。2人共まさか名前までは変えないだろうし」
彼らのアバター名はある意味で、もう1つの名前だ。理由もなくそれを変える道理はない。
「あ、そうだ。ユイちゃん」
アスナが思い出したように娘の名前を呼ぶ。ソファの前の机の上で白い光が弾け、小妖精が現れる。
「もう!酷いです、ママ。ママかパパが呼んでくれないと私、出てこれないんですからね!」
「ご、ごめんねユイちゃん。……ところでその頭に付いている、ネコミミはどうしたの?」
ユイは頭にネコミミの付いたヘアバンドを付けていた。
「これですか?にぃに貰いました」
刹那、場が一瞬凍りついた。
「『観戦するんなら、気分から入れ』と、皆さんの分もあります」
ユイが手を振ると、人数分のヘアバンドが虚空から現れた。
「「…
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