第六章 贖罪の炎赤石
第六話 学院に伸ばされる手
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んだよ!」
「っ!?」
「失敗すると思うんなら、解決策を考えな! 解決策が思い浮かばないんなら、失敗しないよう自分も参加しな!!」
「そ、そんな無茶な」
「無茶でもやるんだよ!」
前触れもなく始まった嵐のような言い争い(しかし一方的な)に、アニエスたちが呆然とする中、険しい顔でコルベールを睨みつけていたロングビルの表情が不意に柔らいだ。
「……安心しな、何も一人でやれとは言わないよ。あたしも手伝ってやるさ」
「……ミス」
ロングビルがコルベールから離れる。ロングビルという支えを失くしたコルベールが、ズルズルと壁を滑り落ちていく。だが、コルベールは座り込むギリギリで足を踏ん張り立ち続けた。
生まれたての子鹿のように震える足で立つコルベールを横目にしながら満足気に頷いてみせたロングビルに、アニエスが何処か引いたような口調で声を掛ける。
「……あ〜……その、ミス・ロングビル?」
「あら? 何ですかミス・アニエス」
「……アニエスでいい。それより先程の『白炎のメンヌヴィル』とは?」
「凄腕の傭兵ですよ。……桁違いの実力と頭の切れの持ち主であり、相手が女子供であろうと顔色一つ焼き殺すような残虐な男」
「それが奴らの頭か」
ロングビルの説明にアニエスは顔を顰める。ロングビルの話を聞いて、作戦の実行に躊躇いが出来てしまった。しかし、再度作戦を考える時間はもうない。どうすればいいのだと、再度頭を抱えそうになる。
「時間がもうありませんし、仕方ありませんね。アニエスたちはキュルケが考えた作戦を実行してください」
「は? しかしあなた今、作戦は失敗すると」
「メンヌヴィルがいれば、ですよ。メンヌヴィルはわたしたちが相手します。あなたたちは残りをお願いします」
訝しげな目を向けるアニエスに、ロングビルは手をひらひらと振りながら笑ってみせる。
「わたしたち?」
「そう、わたしと――」
「は?」
ロングビルがゆっくりと視線を移動させるのに合わせ、アニエスの視線も動き、
「え?」
壁に背を付け呆然と自分の顔を指差すコルベールと視線が合う。
「ミスタ・コルベールで」
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