第六章 贖罪の炎赤石
第六話 学院に伸ばされる手
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「貴様は一体何をやっているっ!」
「えっ? あ……ちょっ」
状況が理解できていないのか、未だ動かないコルベールの腕を掴み、アニエスは自分が隠れる壁の陰に引き込んだ。
「貴様は捕まらなかったようだな」
「え? 捕まる? っそ、そうです! 一体何が起き――っぐ!」
「五月蝿い黙れ……っ!」
「っっ!!」
「……ふん!」
壁の陰に引き込まれたコルベールが、自分の腕を掴むアニエスに向かって状況の説明を求めようとする。しかし、アニエスは顔を近づけ矢継ぎ早に言葉を発するコルベールの口を片手で塞ぐと、殺気を込めた視線を叩き込んだ。
睨みつけられ息を飲み黙り込んだコルベールの様子に、アニエスは鼻を鳴らし顔を背けた。
「……見ればわかるだろ。学院の生徒がアルビオンの手のものに捕まった」
「そ……んな……まさか」
「見れば分かるだろ」
「っ……確かに……その、ようですね」
壁の影から小さく顔を出し食堂を覗いたコルベールが、顔を青くしながら呟く。
「邪魔だ。貴様は下がっていろ」
先程のように立ち尽くすコルベールの服を掴むと後ろに引き込む。
無駄な時間を使ったと更に機嫌が悪くなったアニエスの背中に、声を掛けるものがいた。
「ねえ隊長さん」
唐突に声を掛けられたアニエスが、勢い良く振り返ると、視線の先にはキュルケとタバサの姿があった。アニエスに顔を向けられたキュルケが、ニヤリと不敵な笑みを向ける。
「学院の生徒か……良く無事だったな」
「ま、ね。敏感な子がいてね」
チラリと隣に立つタバサを目を向けながら、キュルケは肩を竦めて見せる。
「それよりあたしたちに計画があるんだけど……乗らない?」
「計画?」
不敵な笑みを浮かべるキュルケと、黙り込み視線だけをこちらに向けてくるタバサを見回す。アニエスは、数秒目を閉じ考え込むと、目を開き頷いてみせた。
「まずは計画の内容を話せ。乗るかどうかはそれを聞いてからだ」
「なかなか話が分かるじゃない」
返ってきた答えに満足そうに頷いたキュルケは、アニエスに近づき自分たちの計画の説明を始めた。
キュルケの説明を聞き終えると、アニエスは顔を上げ集まっていた銃士隊を見回し口を開く。
「皆聞いたな。時間がない。これでいくぞ」
「「「「ハッ」」」」
短く了承の意を示した部下たちに指示しようとしたアニエスだが、それを止める者がいた。
「危険だ。相手は戦闘のプロである傭兵だぞ。その程度の作戦など通用するはずがないっ」
「手をこまねいてる時間はないのよ。残っている時間は後三分。それを過ぎれば一人ずつ生徒が殺されるのよ……それでいいとあなたは言うんですか?」
「それは……」
軽蔑の色を隠
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