第65話 =蝶の谷の動乱=
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アカウントで調査先の種族でスパイを送っているらしい。サラマンダーが最大勢力と呼ばれるのはリーファもさっき言っていた領主暗殺とその情報を得るのが上手い、というのがあるだろう。ただ、向こう側は上部が秘密裏に同盟を組もうとしているかも、と思っているらしい。…良い方向に勘違いしてくれているのはうれしいんだけど…。
「……護衛の1人もいない貴様がその大使だと言うのは信じがたいな」
「護衛ならいる。うしろにいる彼がその護衛だ」
ちょっと待ってくれ…俺ここで指名かよ…。キリトは俺の姿を相手に見せるため横に一歩ずれる。
「…貴様は……ヴォルトか…。何故ヴォルトがスプリガンの護衛をしているのか気になるところだが…」
「リクヤ、その人の言うとおりヴォルトだよ」
俺が名乗ったとき時に一瞬だけだがサラマンダーの副官がビクリと動いていた。でも、そんなことは気にしていられず問題は俺がこのでっち上げに上手い具合に乗らなければならないということだ。
「…ヴォルトの上のほうの人は近々、スプリガンとウンディーネ、両種族との貿易をしたいらしいんだ。まぁ、「貿易をしませんか?」「はい良いですよ」なんて成り立つ世界じゃないから…それで貿易のため出された条件がこのスプリガン・ウンディーネ同盟の大使の護衛ってわけ」
キリトを指差しながら自分でも言ってる事無茶苦茶だなと思う…
「この場にはシルフ・ケットシーとの貿易交渉に遣わされただけだ。が、会談を襲われたとなればそれだけで済ますつもりは無い。シルフ・ケットシー・スプリガン・ウンディーネ・ヴォルトの5種族で同盟を組んでサラマンダーに対抗することになると考えてもらおう」
「………」
しばらくの間、沈黙がサラマンダー側と俺たち側を包む。が、その間俺の背中は冷や汗でいっぱいだった。SAOに囚われる前いろいろな人に言われたのだがどうやら嘘が苦手らしくすぐ顔に出てしまうらしい。向こうでは絶対に生きなきゃいけないという信念があったため改善されたと思うが…。
「護衛がいるとはいえそれでも2人、たいした装備も持たない貴様たちの言葉をにわかに信じるわけにはいかないな」
その沈黙を破るかのように口を開くとともに男の方が背中の両手剣を、少女の方はその大きな盾から剣を音高く抜き放つ。
「…じゃあ、どうやって信じてもらおうかな」
敵が地震の武器を構えている時点で実力で示せ、それで判断をしてもいいってことなんだろうけど。
「簡単な話です。スプリガンの方は将軍と、そしてヴォルトの方はわたしとデュエルをしてください」
「それぞれ1対1ってこと?」
おれの質問に少女は頷いて答える。俺としては同じ両手剣使い――俺は2本だけど――である向こうと勝負してみたい気持ちもあったけど…。
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