第65話 =蝶の谷の動乱=
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煙が消えるころにはちゃんと歪みかけた表情は隠したが…。砂煙が薄れ始めるとキリトはさっそく体を起こして立ち上がるとサラマンダー軍を睥睨し、目いっぱいに息を吸い込む。
「双方、剣を引けぇっっっ!!!!!」
「ぅあっ……大声出すなら先言えよ……」
先ほどの爆発音よりさらに大きな声を出すキリト。サラマンダーも数歩ほどあとずさるほど空気を揺るがす音だったため出したキリト自身はともかく隣にいて急に聞かされた俺の被害は尋常じゃない。鼓膜がその機能と存在を一瞬にして全てを失いそうな感じがして、今も少しキーンと耳の中で甲高い音が鳴っている。
「指揮官に話がある!!」
キリトの声が聞こえることでまだ俺の鼓膜は大丈夫なことが確認できた。そもそも仮想世界で鼓膜がどうとかそんな考えがあるのかどうか知らないけど…。
こちらが乱入してきたにもかかわらずこんなふてぶてしい態度に圧倒されたかのようにサラマンダーのランス隊の輪が割れてその道を指揮官と思われる大柄な戦士が、そしてそのうしろには副官らしき人物が進み出てくるのが見える。男の方はその髪を剣山のように立たせており、浅黒い肌に猛禽に似た鋭い顔立ち。そのたくましい体を守るのはいかにもレアアイテムといっているような赤銅色のアーマー、背にはキリトのと同じくらいの紫色の両手剣を装備している。
対して副官の方は…
「…女?」
その通り男には無い凹凸のある体を持っているプレイヤーだった。サラマンダーの特徴が出ているその髪は肩の辺りで少しカールを巻いているショート、胸は…その……うん、体格はリーファとそんな変わらないくらい。装備はこちらもレア、そしてやっぱりサラマンダー共通の赤、肘上まである篭手や膝上まである靴型防具は鎧のようなのだが上半身はまるで服のような感じだった。胸元を隠すように紅い鎧があるだけで腹は出ており、ミニスカートを装着している。一瞬見ただけでは戦うための服装ではないと感じさせられるがそれを打ち消すかのようにうしろに背負っている盾がその存在感を放っている。
「スプリガンがこんな所に何をしている。どんな理由があろうと殺すが……その度胸に免じて話だけは聞いてやってもいい」
「俺の名はキリト。スプリガン・ウンディーネ同盟の大使だ。この場を襲うからには我々4種族との全面戦争を望んでいる…そう解釈して良いな」
この発言にサラマンダー、シルフ、ケットシーはもちろん、ハッタリと知っている俺も内容を聞いていなかったので思わず絶句してしまう。
「ウンディーネとスプリガンが同盟だと……?」
その指揮官も驚いているようで、後ろにいる女性も同じような表情をしている
「…そんな報告は入ってきてないですが……」
ALOはグランドクエストのせいで多種族よりも1歩先に行くために新たな
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