第65話 =蝶の谷の動乱=
[3/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
す!」
「前はキリトに任せるとして……リーファの手を拝借してっと」
そういいながらリーファの手をぎゅっと掴む。リーファは顔を赤くしているが…。
「ごめん、ちょっと我慢してくれ…あと、しゃべってる舌噛むよ」
「え、ちょっと……」
リーファが言い切らないうちにキリトが走り出そうとしていたのでそれに続き俺も準備し2人して思いっきり地面を蹴る。そのせいでズバァンという音があたりに響いたような気がした。
「わああああ!?」
続いてリーファの悲鳴が。でもそれは気にしないことにしてさらにスピードを上げ続ける。今までのペースも何かと速いほうだったが今のスピードはそれとは比較にならないもの、辺りの景色が放射状に流れていくのを見て走ってる俺自身もびっくりしてる。現実ではこんなに早く走れるのはまず人間じゃないと思うし、前の仮想世界では知り合いの中でトップなんじゃないかっていうくらい鈍足だった。それも敏捷を全然上げなかったせいだけど…。
「あの、あの、モンスター!」
猛烈な速さのせいで上手く聞き取れないのか断片的にリーファの言葉が聞こえてくるが、俺とキリト、そしてユイの言葉は一緒だった。
「「無視!」」「無視です!」
その言葉の通りオークがうようよしている場所につっこんでいく。リーファも悲鳴を上げそれと重なるようにそのオークたちの雄叫びも上がり次々と刃こぼれした剣や斧が振り下ろされるが、武器が地面についたときにはその場に俺たちはいない。キリトが敵の隙間を瞬時に見つけ出し猛烈な勢いで駆け抜けその後ろを俺と引っ張られているリーファが通り抜ける。後々聞いた話だとこの行為は《トレイン》と呼ばれる非マナー行為そのものらしいが、今はプレイヤーがいないのでよしとしよう。
「お、出口かな」
「だな。一気に行くぞ!」
前方にかすかな光が見えるとさらにスピードが高まる。すると数秒でその光は大きくなり、轟音の発生とともに視界が真っ白に染まって地面が消える。いろいろなSFアニメであるようにカタパルトよろしく飛び出しそのまま翅を広げて速さを生かしたまま滑空状態まで持っていく。さっき俺たちが出てきた出口はモンスターたちで埋め尽くされており後から来た人があれを裁かなければいけないと思うと少し申し訳ない。
「ぶはっ!!」
大きく息を吐き出し慌ててリーファも同じく滑空体勢に入るとぜぇぜぇと息をしながら飛行を安定させていき、こちらを睨みつけてきた。
「じ、寿命が縮んだわよ!!」
「わはは、時間短縮になったじゃないか」
「俺考案、リクヤのジェットコースターの感想は?」
と、感想を聞いてみると「もう2度と体験したくない」らしい。さすがに俺もスピード出しすぎて驚き反面怖かった…というのは心に留めておこう。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ