第65話 =蝶の谷の動乱=
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「これはものすごい金額だよ。今サラマンダーが最大勢力なのは、昔、シルフの領主を罠に嵌めて殺したからなんだ。ALOで今日までに領主が討たれたのは後にも先にもその1回だけ」
「なるほど…」
「だからね…2人とも」
ちらりとリーファはこちらに視線を向けて言葉を続ける。
「これはシルフの問題だから…これ以上付き合ってくれる理由はないよ。…この洞窟を抜ければアルンまではもうすぐだし、会談場に行ったら多分、生きて帰れない。またスイルベーンからやり直しで何時間も無駄になるだろうしね………ううん、もっと言えば」
一旦言葉が切れたのでちらりと顔を見ると悲しげな表情がそこにあった。だが、リーファは続きを言い始める。
「世界樹に行きたい、っていう目的のためにはサラマンダー側についたほうが正解だと思う。サラマンダーがこの作戦に成功すれば充分…ううん、それ以上の資金を得て、万全の体制で世界樹攻略に挑むはず…。スプリガンや新勢力のヴォルトなら傭兵として雇ってくれるはずだし…。だから、今ここであたしを斬っても文句は言わない」
「……」
キリトは、リーファの言葉にしばらくの間黙っていた。が、やがてポツリポツリと言葉をこぼす。
「所詮ゲーム、殺したければ殺すし奪いたければ奪う…。そんなヤツには嫌って程出くわした。一面ではそれも真実、俺も実際に昔はそう思ってた。でも、そうじゃない。仮想世界だからこそどんなに愚かしく見えても、守らなきゃいけないものがある。俺はそれを――大事な人に教わった」
それを言った瞬間、険しい顔だったキリトが優しく、懐かしむような表情をした。
「…相変わらず説教くさいな、お前は」
「うるさいな……悪い癖なんだよ……」
自覚はあるのか頬をかきながら照れたように笑う。それがキリトの良いところでもあるんだけど…言ったことからは絶対に、どんな困難が待っていようと逃げないというのが言葉に出ている。
「でも、キリトの言うとおりだ。俺は難しく言えないけど俺たちとリーファはもう友達だろ。…俺が思ってるだけかもしれないけど…。でも俺はその友達を斬るなんて真似絶対したくないし、守ろうとするものがあるなら一緒に守りたい。
おかしいって思うかもしれないけど俺はさ、大事な人が大切に思っているものは自分にとっても大切なものって思うんだ。だからその大切なものは守り抜きたい…何に変えても」
「……リクヤ君…」
「だからリーファの大切なものを守る…じゃなくてその手伝いを俺たちにもさせてくれ」
「…え?」
俺の言葉にリーファは一瞬ぽかんとしてこちらを見てくる。
「いいよな、キリト」
「あぁ、もちろんだ。……そうなると時間潰しちゃったな…。ユイ、走るからナビよろしく」
「りょーかいで
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