切れない糸(あるいは物件を選ぶ際の注意事項)
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多少大きな声で驚く切嗣。それを見てシャルロットは声が大きすぎた事に気付き、慌て周りを見渡し、誰も居ない事に安堵した。
「気持ちは嬉しいけど、荷物は大して無いから手伝わなくても十分も在れば終わっちゃうよ」
「いいの!僕が手伝いたいの!」
一人でやっても二人でやっても大して効率は変わらない、にもかかわらず二人でやると言い張るシャルロット。嘗ての切嗣ならば非効率だと切って捨てただろう。だが、今はそんな効率の悪さが、ナゼだかいとおしく思われた。
「……ふふ。それじゃあお願いしようかな、お姫様」
そう調子に乗ってシャルロットの手を恭しくとった。
「おおおおおおおお姫様って!?」
無論、シャルロットの顔がまた朱に色づいたのは言うまでもない。
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切嗣の部屋はシャルロットの転入により漸くまともなものになった。
「な、何……コレ?」
しかし、以前の――設備が最悪だった頃――部屋が気になる人もいるだろう。シャルロットの眼前に広がる光景、それが答えだ。
「何って……物置?」
そこは物置のような粗末な部屋という言い方がお世辞に聞こえるような部屋だった。物置だって、その気になれば雨風くらい防げる。
「ねえ、壁に穴が空いて寒いんだけど」
「まぁ、物置だし」
「天井から水が落ちてくるんだけど……?」
「上にある水道管が水漏れしているみたいなんだ。まぁ、物置だし」
「壁に血みたいな赤黒い何かが付着してるんだけど!?」
「絵の具かなんかじゃないのかい?まぁ、物置だし」
「壁に血文字で『助けて』ってオドロオドロしく書いてあるんだけど!?」
「演出かなんかじゃないのかい?まぁ、物置だし」
「いや、幾ら物置でも酷すぎるよ!?」
本当にここは世界に名高いIS学園なのか?あと切嗣。全部物置で説明する気か? しかし少し騒ぎ過ぎたか、寮長の巡回に引っ掛かった。
「五月蝿いぞ!何を騒いで……なんだ、衛宮とデュノアか」
「織斑先生……すいません。少し五月蝿くしてしまったようで」
「はぁ〜、一応時間外の外室許可は今日に限りだしたが余り騒ぐなよ」それだけ告げると、千冬は他の部屋の見回りにいこうとして、シャルロットに引き留められた。
「織斑先生、ちょっと!」
「デュノアか、どうした?」
「ここ、ホントに部屋何ですか!?」
顔を青ざめさせながら部屋(笑)の中を指差す。
「直径20センチ程の穴を筆頭に、至る所に細かな虫食いの様に空いた壁があるんですけど」
「夏の暑い日などは生徒に大人気だ(冬は知らん)」
「天井の右側半分から水が落ちて来てるんですけど……」
「部屋の中で小雨が見れるなんて風流ではないか。それに喉が渇けば迅速に水分が補給出来る(飲めるかどうかは知らん)」
「壁にベッタリと血痕とダイイングメッセ
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