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最期の祈り(Fate/Zero)
切れない糸(あるいは物件を選ぶ際の注意事項)
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も経済的に台頭してきたが、他国とのイデオロギー闘争や、環境の回復など早急に解決しなければならない問題が山積みで学園を支える程の資金は出せない。
……最も日本も、学園から利益を多少なりとも回収しないと直ぐに足に火がつく状況だ。多額の資金を出す代わりに、ある程度の意向を汲んで貰う。そこから得る利益で何とか学園を経営している状態だ。赤字経営だが……
まぁ、要するにだ。ナショナリズム的な問題は建前でしかない。実態はもっと単純な利害絡みの都合だ。日本はISに関しての何らかの情報が欲しい。特に切嗣のISに関しての。そこでドイツ、フランスに話を持ち掛け、切嗣のISを調べようという話になった。まず、フランス、ドイツが最強コンビをつくり、日本が学園に干渉し切嗣の対戦相手を決定する。これが舞台の裏側だ。一応これでも干渉はギリギリにしてあるが、学園が日本に有るが故に出来る力業だ。
ところで、今回このような日本の思惑に一番とばっちりを受けたのは切嗣ではなく……
「ごめん……切嗣」
「いや、気にしないでくれ。シャルのせいじゃないさ」
実はシャルロットだったりする。
今、二人は夕方の食堂の片隅で食事をしながら予想外のこの事態に当惑していた。この提案が公式に発表されたのは切嗣が更識楯無と接触した二日後、トーナメント開催の1週間前だ。それまでシャルロットは完全に切嗣と組む積もりだった。それがいきなりご破算になったのだ。心中は察して然るべきだろう。
(しかし、日本政府がそこまで血眼になって干渉してくるとは……)
それは少し予想外だった。確かに切嗣はこの学園に入ってからただの一度しかその力を晒していない。便宜上の編入試験の時、真耶と闘った一戦だけだ。だが一応、弾薬などを調達するために武器の情報は政府に公開している。
(やはり、それだけでは不足だったか)
今回のトーナメントの組み合わせは切嗣に向けられた暗喩を含んでいる。
――いい加減、ISの情報を晒せ――
本当は、自分はシャルロットの補助に徹し、ラウラやセシリアなどの厄介な敵だけ戦闘に参加する予定だった。裏を反せば、シャルロットの戦力にかなり期待していたという事だ。聖杯戦争みたく、戦場をセイバーに預けたように。
だからこそ、その喪失はかなり手痛い。一年の中でシャルロットと拮抗する実力をもつのは、現状セシリアくらいだ。その次に凰鈴音が位置し、後はその他若干名のクラス代表が足にかかる程度である。
しかも、彼女達は一夏と組むだろう。ラウラ・シャルロットペアに勝つことを考えれば、少なくともシャルロット相手に一分持たせられる人を選ばなければならないだろう。生憎だがラウラを相手に仲間の援護を行えると考えるほど切嗣は自惚れていない――いや、寧ろ本来はシャルロットが先に相手を倒し、その後2対1に持ち込む予定だったのだ。一度ラウラの
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