第九話
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された歩き方はしない」
「っ、ハハハ!面白い子だな、君は」
口調が代わり、顔に手をかける。
髭とカツラを取った男は、笑顔でこう告げる。
「申し訳ない。私はウェールズ・テューダー。アルビオンの皇太子だ」
思わず舌打ちしそうになった。
このイケメンが、死ねばいいのに。
「生憎、私は貴方がウェールズ皇太子だと出で立ちで理解することは出来ません。何か証拠はおありでしょうか」
「ふむ……ではこれを。風のルビーはアルビオン王家に伝わる秘宝と言われている代物だが」
こちらの手元にもアンから借りた水のルビーがある。
だけどぶっちゃけ、事情知らない人からするとそんなの知るかって感じだけど。
「証拠としては不十分極まりないけど、まぁいいわ。私はアンリエッタ姫殿下より密命を仕った、ルイズと申します。意趣返しに、これが証拠の水のルビーになります」
「ふむ、どうやら本物のようだね。遠路はるばる、このような場所までの密命ご苦労だった。して、密命の内容とは?」
「これを」
アンのラブレターを手渡す。
「これは―――。いや、それよりも君達をニューカッスル城に案内しよう。この手紙の内容を遂行するには、一度あそこに戻る必要があるからね。あと、捕らえていた者は全員解放し、事情を説明させていただくので、証人として君達も同伴して貰いたい」
「わかったわ」
あれから色々あって、ニューカッスル城に到着。
ヒャッハー!硫黄だー!とか叫んでいた偽空賊達は、どこまで成りきってるんだと思わずにはいられなかった。
結婚がお流れになる材料である恋文も回収。ミッションコンプリートである。
そして今、アルビオン兵達が最後の晩餐を上げるべくどんちゃん騒ぎをしている。
蝋燭の残り火のような、一瞬の命の光。
彼らはこの戦場で死ぬつもりだ。
私は、それについてどうこう言うつもりはない。
ただ一人の相手を除いて。
「ルイズ………」
夜空を見上げていると、サイトが元気なさげに話しかけてくる。
「どうしたのよ」
「ごめん。俺使い魔なのに、いざって時にルイズの傍にいられなかった。危険がいつ迫るかなんて、わかっていたのに」
「そんなこと。何事にも絶対はないわ。戦場だからといって、常に気を張り続けるのは無理なんだから」
「それでも、俺は―――」
「この話はもうおしまい。本当に悔やんでいるなら、次挽回しなさい」
それだけを告げ、私はウェールズの下へと足を運ぶ。
「おや、君は………」
「ルイズです」
「パーティーは楽しんでくれて―――る様子はなさそうだね」
「ええ。死者への供物を美味しくいただくなんて、無理な話ですわ」
「はは………手厳しいね。アンから
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