第九話
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」
「ええ、そうよ。それよりさっきのやり取りはなに?」
「こりゃあいい、身代金をたっぷりもらえるぜ」
「私達を人質にしたら、命が幾つあっても足りないわよ。それより、さっきのやり取りは」
「よし、連れていけ!」
こいつもスルーかよ。
船内なう。
杖を没収され(仕込み杖含む。セクハラだったから検査役の股間に蹴り入れておいた)、硫黄立ちこめる牢屋に閉じこめられた私達。
サイトは別の場所で捕まってるんだろう。ここにはいない。
「大人しく捕まる理由はなかったんじゃないかしら」
「ふむ、あの場でリーダーと思わしき奴を捕らえても良かったのだが、それだと博打になる。万が一奴がリーダー格でないなら、人質は効果を持たなくなる。それに、空賊にどこまで仲間意識を期待していいものかもわからないしね」
「―――仲間意識に関しては、問題なさそうだけどね」
「それは、どういう?」
「おい、静かにしろ!」
ワルドの問いは、見張り番に遮られる。
ちょっとした道具と時間さえあれば、鉄格子を破るなんて訳ないんだけど、流石に不足し過ぎている。
「それにしてもアンタら、アルビオンの貴族派かい?」
「別にそんなんじゃないわ。アルビオンがどうなろうと、私には知ったこっちゃないし」
「………へぇ、じゃあなんでこんな時期にこんな場所に?」
「教える義理はないわね。―――いや、あるにはある、か」
「ほう、聞かせてもらおうじゃないか」
「貴方でもいいけど、何なら貴方のトップに合わせて欲しいわね。勿論杖はいらない」
「そんな真似、出来るとでも?」
「出来るわよ。何せ貴方―――いや、貴方達は本来私達寄りの存在だから」
「――――――!………ちょっと待ってろ」
驚き、一考した後慌てて部屋を出る。
「ルイズ、さっきのは一体」
「ワルド。貴方はもう少し観察眼を鍛えるべきね」
疑問符を浮かべるワルドを尻目に、見張りを待つ。
「お頭がお呼びだ」
案内された先には、先程のスルー野郎が立っていた。
「ほう、さっきのお嬢ちゃんか。何やら面白い話を聞かせてくれるようじゃないか」
「ええ。それよりも、船内で帽子を被るのは些か礼儀知らずではなくて?」
「帽子?そりゃどういう―――ああ、なるほど」
一瞬の思考の後、納得する風に頷く。
「帽子、か。成る程確かに、飾りで気取るという意味では言い得て妙だ。それより、何故分かった?」
「貴方が誰かまでは知らないけれど、そもそも賊というのはあそこまで統率の取れた動きはしない。貴方達のそれは、訓練された者の動きだった。それに、どんなに口を悪くしても、身体が正直なら歪なだけよ。賊は、あんな洗練
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