第6話『力を求めたその先は』
[7/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。
……確認をとっても現実問題、海軍支部大佐がココヤシ村を支配した魚人に買収されているのでココヤシ村が支配されているという情報は出回らず、結果は変わらなかっただろうが、ハントにとってはそれだけでも随分と違う印象だっただろう。
どちらにせよハントが混乱して途方にくれることに違いはないだろうが、少なくとも海軍に絶望まで感じるにまではならなかったはずだ。
さて、それはともかくとして。
「……あれ?」
呼吸が乱れる。
――俺、いまどこにいるんだっけ?
拳に力がこもる。
「うそじゃ、ない」
だけど、それ以上に言葉に力をこめて、言う。
「嘘じゃない!」
急に大声をだす俺に役人が明らかにいらだった表情を見せた。が、それも一瞬。後ろで事情を聞いてくれそうな顔をして、こっちに向かってきた上司に笑顔で「このままだと他の方の迷惑になってしまうのでこの子の話を外で聞いてきますね」と断っ俺の手をとる。
「じゃ、いこうか、ボーヤ」
「……」
――これが、現実。
その引っ張る力を、無言で肯定する。ただ静かに目を閉じて、その男に連れられるままについていく。
――どうすれば……いいんだ。
ココヤシ村のみんなの顔がまぶたの裏に浮かぶ。
力がない。
海軍に訴えても動いてもらえない。
力を得る手段も、ない。
海軍に入って……というのはもうありえない。こんなやつでも入れるような場所で村を救えるくらいに強くなれるわけがない。
ジンベエさんにも断られた。
「……」
男がなにかを言っている。
あ、そういえばさっきの男についてきたんだっけ? ずっと目を閉じて考え事してたから忘れかけてた。
「っ」
なんとなく、ほんとうになんとなく。
この男が木の棒を振り下ろしてきた気がして、目を開けたら、本当に振り下ろしてきていた。
ただ、遅い。
反射的に両手をあわせてそれを受け止めた。いわゆる真剣白刃取りというやつだ。この場合は木だから白刃というのは少し違うのかもしれないけど。
「がき、てめぇ!」
周囲は建物に囲まれてて、誰もいない。人が通る気配もないし、誰かが近くにいる感じもしない。いや、人の気配とか感じれるわけじゃないけど、なんとなく。
ただ、俺の後ろには海があって、下手をしたら投げ捨てられるような状況だ。
もしかしたらこの男は面倒くさい訴えをしてきた人をこうやって、殴って海に捨ててきたのかもしれない。
がっかりだ。
がっかりだった。
「これが海軍のやることかよ」
「うるせぇんだよ、ガキが! そもそも俺は――」
もうこいつの声すら聞きたくなかった。
木刀をひねって奪う。急な力
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ