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蝶々夫人
第三幕その一
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「今はお休みです」
「そうか。それはいい」
 ピンカートンはそれを聞いて満足気に頷く。
「とてもお疲れでしたので」
「そうか。それじゃあやっぱりこれは」
 昨日の夜には風一つなかった。家中が花で飾られたままであった。シャープレスはその花びら達を見回して言うのだった。様々な色の花々を眺めながら。
「蝶々さんが」
「それに一晩中待っておられたんですよ」
 鈴木はこのことも二人に告げるのであった。
「一晩中。御主人が来られると御聞きして」
「そうか。そうだったな」
 シャープレスは彼女の言葉を聞いて頷く。
「だから。蝶々さんは」
「三年もの間。毎日港に入って来る船を見て待っておられたのです」
「見ろ」
 シャープレスは鈴木の話をここまで聞いたうえでピンカートンに顔を向けてみせた。これまで碌に話すこともなく次第に深刻な顔になって話を聞いていた彼に対して。

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