第二幕その五
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「戻って来るというのですね」
「あの方の子供なんですよ」
それこそが蝶々さんの最大の心の拠り所であった。この子こそが。
「雨の日も風の日もこの子を抱えて歌って食べ物や着物を稼いで同情する人達に悲しい歌声を聞かせて不幸な母親にお恵みをと叫ばせるのですか?」
「それは・・・・・・」
そんなことが言えるシャープレスではない。俯いて黙ってしまう。
「悲しい運命の蝶々はこの子の為に踊りまた芸者に戻って楽しみの歌は悲しみの歌になって。そんなことをする位なら」
「駄目だ、もう」
シャープレスは今にも泣きそうになる。それだけは必死に堪えて言うのだ。
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