第13話 麻生探偵事務所にて
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の事を見つめる俺の顔が映る。その瞳。そして、彼女の発して居る雰囲気が、彼女の心の動きを如実に伝えていた。
彼女が求めているのは、おそらく真実。但し、同時に、何か陰に近い雰囲気を発して居る。
これは逡巡。自らの造物主に対する禁忌に触れる事に対する戸惑いか、それとも、俺達に対する信用が低い事に対する警戒感か。
それとも、自らが真実を知る事に因って、俺達。……水晶宮と、その思念体と言う存在との間に何らかの軋轢が生まれる事に対する危惧か。
しかし……。
瑞希先輩は明らかに長門有希と言う存在を知っていました。これは、水晶宮や、その関係者たちが長門有希や、彼女の造物主に関しての情報を収集していた結果だと思います。
しかし、先ほど、有希はこの世界に魔法が存在している事を知らなかった、と証言しました。まして、彼女の答えに嘘が含まれていない事は確実です。以前に水晶宮の事を尋ねた時も、同じように知らないと答えました。
その答えが返された瞬間、彼女が発した雰囲気に、嘘や欺瞞が含まれている気は存在していませんでしたから。
そして、ある程度の情報収集能力を有していたのなら、水晶宮の情報を掴むのはそれほど難しい事では有りません。そもそも、非合法の秘密結社的な色合いの組織などでは無く、龍種に取っての互助会的な組織。それなりの裏の世界に精通した人間。例えば警察関係者などでも、県警の上層部の人間ならば知って居ると言う程度の秘匿情報ですから。
警察内部にも似たような組織。特殊資料課と言う退魔師を抱えた部署は存在するのですから、当然と言えば当然でしょう。
尚、水晶宮の表の顔は四光商事と言う、比較的古い貿易関係を主業とする会社で、世界的なネットワークを持つ商社で有る事は間違いないのですから。
……龍とは、世界各地に伝承を残す存在で有り、その末裔たちも世界各地に存在している者ですからね。
確かに、現在、覚醒した龍種の数は多くは有りません。が、しかし、血を受け継ぐ者ならば無数に存在するはずですし、そんな血を受け継ぐ者たちも何かの切っ掛けが有れば、ある程度の能力に目覚める可能性が有ります。
ここはそう言う世界のはず……ですから。
「そこから先の話は、私の話を聞いてから結論を出したとしても、遅くは有りませんよ」
彼女。長門有希にここから先の話を聞かせるのは、彼女に有る程度の覚悟を要求する事と成る。……と言う結論を出そうとした俺の言葉を遮る男性の声。
但し、俺には聞き覚えのない声で有るのは間違いない。
その男声のした方向に目を向けた俺。その瞳に映ったのは……。
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