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ヴァレンタインから一週間
第13話 麻生探偵事務所にて
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る存在が必要とされるのですから。

 ただ、その事実を有希が知り得なくとも、彼女の造物主。有希が言うトコロの思念体が知らないはずはないと思うのですが。少なくとも、ここまで完璧に人工的な生命体を創り上げ、その素体に魂を定着させている存在が、この世界の裏側に関する事実を知らないと言うのは、余りにも不自然過ぎます。
 そして、その事実を有希に知らせていないと言う事は……。

 この理由として可能性が高いのは、彼女。長門有希に対して意図的に情報の統制が行われていた可能性が高いと言う事。

 但し、どのような意図が有って、そんな面倒な事を行ったのか判りませんが。
 あの涼宮ハルヒと言う名前の少女の言葉や行動からは、明らかに何らかの強制力のような物を感じました。彼女のような存在、言霊に近い能力を操る存在が居るのが判っているのに、魔法の存在を彼女、有希に教えていないような事は……。

 それとも、長門有希の仕事とは、あのマンションの一室に留まったまま、外に出る必要のない物なのでしょうか。それならば、外界の情報。特に世界の裏側に対する知識は必要ないとは思うのですが。
 但し、その場合、瑞希さんが、長門有希の事を知って居る理由が不明と成りますし、さつきが有希を邪神の眷属として襲った理由も不明と成るのですが。

 有希が俺の事を見つめる。何時の間にか、ソノを撫でていた手を止めて。
 それは……。そう。まるで、会話の先を促すかのような雰囲気を纏って。
 但し。

「ここから先の話は、有希。オマエさんの造物主の思念体が、オマエさんに対して敢えて伝えて居なかった事実に対する話となる」

 教える機会が無かった。……と言うだけの事ならば問題はないでしょう。しかし、恣意的に為されて居たのではなく、意図的に彼女に情報を伝えていなかった場合は。

「これから先の話。何故、瑞希先輩が長門有希と言う存在を知って居たのか、と言う質問に対する答えを聞いて仕舞った場合に、有希自身の身に危険が迫る可能性が出て来る事は覚悟して貰いたい」

 普段の俺とは少し違う、かなり強い語気。
 但し、もしも彼女に、この世界の魔法の存在が知られる事が、彼女の身に造物主、……思念体からの何らかのペナルティが下される危険性が有るのならば、彼女の目の前に俺が放り出されて、彼女のバックアップや思念体との連絡が途絶えた瞬間に、彼女の命運は尽きていたと言う事に成ると思います。

 何故ならば、あの時の俺には、俺の仙術を使用してしか、長門有希と言う名前の人工生命体の少女の生命を永らえる方法は存在して居ませんでしたから。
 そしてその結果、彼女に『人魚姫』と言うルーンが刻まれたとしたのならば……。

 有希の瞳の中心に、良く見慣れた、しかし、普段はあまり浮かべない類の表情で彼女
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