第九話 別れ
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んかじゃないぜ嬢ちゃん。坊主が言った事は大体あってる」
「……っ」
ランサーが追い打ちをかけるようにサチに言葉を投げ掛ける。
「嬢ちゃんは殺し合いに巻き込まれ、そして俺を召喚した。それは嬢ちゃんが巻き込まれただけの一般人から殺し殺される参加者に変わっちまったって事さ」
ランサーはサチに続けて言う。
サチは既に言葉を失っている。
それもそうだろう。
急に、『貴方は殺し合いに参加することになりました』と言われても実感なんてわかないし、信じたくもない。
「……でも――なんで、私が……なんで―――皆が殺されなきゃいけなかったの?」
「っ…」
「……」
サチは絞り出すような声で問いかけてくる。
俺は思わず唇を噛み、体を硬直させる。
見えないが、セイバーも反応を見せた。
彼女も皆を守り切れなかった事に悔いを感じているのだろう。
「……」
俺には何も言えない。
言っても全て言い訳になってしまう気がした。
ただ、沈黙する。
それしか今の俺には出来なかった。
「嬢ちゃん、アサシンの奴が何を考えて嬢ちゃんの仲間を殺したのかは分からねぇし、嘆く気持ちもわかる。だがな嬢ちゃん、今は自分が置かれている立場を理解しろ」
「…え?」
「嬢ちゃんは意識的にしろ、無意識的にしろ、俺という存在を呼び出し、聖杯戦争に参加しなきゃならねぇ立場になった。嬢ちゃんの意思に関係無くな」
「そ…そんな、私――」
「今はくよくよしていてもいい。だが、ここから先はマジな殺し合いの世界だ。覚悟を決めろ。じゃねぇと」
ランサーは一呼吸置き溜めると、
「死ぬぞ」
「……っ!!」
ビクリッとサチが体を震わした。
ランサーの一言は俺の心にも深々と突き刺さる。
俺は今まで舐めていた。
サーヴァントという存在、そして聖杯戦争を。
俺は最前線でずっとソロで戦ってきた。
他のプレイヤー達より頭一つ抜けた存在である事を俺は理解し、そしていつも俺の隣にいるセイバーの事を絶対的な存在だと考えていた。
だから、無意識にこのゲーム、そして聖杯戦争に舐めてかかっていたのだ。
だが、今回の一件でそれがすべて崩れ去った。
俺という存在はサーヴァント相手では無力でしかなく、セイバーも絶対的な存在ではない。
結果、俺は三人を殺してしまった。
俺が彼らにちゃんと本当の事を話していればこの悲劇は止められたのかもしれない。
今となっては悔やんでも悔やみきれない事だ。
「ランサー」
と、今まで沈黙していたセイバーが口を開いた。
「彼女もいきなり殺し合いに巻き込まれたと言われても、まだ混乱しているはずです。いきなり捲くし立てるのは得策ではない」
セイバーはそう言いながらランサーを見つめた。
ラン
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