第十五話
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人あとからやってきた。
「今日はどのようなお呼び出しでしょう? 」
恐る恐る俺が尋ねてみると
「王子、いましばらくお待ちください。陛下がお出でになるでの」
しばらくすると、わかめ(トラバント)を伴い国王がやってきた。
他の人たちに倣い、俺も起立して敬礼した。
「皆、楽にするがよい。そしてミュアハ王子」
呼ばれたので俺が返事をすると
「ここの爺どもは儂の古くからの戦友でな、古傷が時として痛むようだったが、おぬしが良き薬を分けてくれた為にだいぶ痛まなくなったと聞いた。仔細を語ってはくれぬか? 」
国王は真剣な顔つきであった。
「まず、薬の効果は使った人それぞれで効き目が異なります。そしてそれを見分ける方法をわたしは存じていないということをご理解ください。加えて申し上げますならば、完治する人も居れば、あまり効かない人もいます。そこもご納得いただけるでしょうか? 」
俺の出した前提に国王は納得したようなので、詳しく続けた。
「…さらに、陛下のご期待する効能以外にも切り傷打ち身などの外傷、おでき腫れものなどにも効果があります。
乾燥させたものを細かく砕き入浴すると、こちらも陛下のご期待する効能があります。
ただし、長時間ドクダミ粉の混ざったお湯を浴槽に入れたままにしておくと浴槽に色が移るので2時間、長くても3時間程度でお湯を浴槽以外に移すことをお勧め致します。
乾燥させたものを湯や水に溶かし、飲んだ場合にもふるつわものの皆さんの古傷を癒す効果、臓腑がしくしく痛む場合の緩和などがあります。
飲みにくいと思われますので蜂蜜に限りませんが、味をよくするものと共に摂られることを初めの内はお勧めいたします。ただし、どのような薬であろうとも使う量をあやまてば毒となることもありますのでご留意いただきたいです。」
恐る恐る様子を窺うと、国王は俺のもとへ近づき両肩をしっかり掴んだ。
「さっそく試してみたい」
トラキア王の顔は鬼気迫るものだった。
……様々な面倒事がありました。
まず使うのを1本ひっこぬいてから俺がはっぱなり茎なりを食べて2時間程度様子を見られたりとか。
乾燥したのを飲むのはまず俺が半分飲んでやはり2時間程度様子見られたりとか。
爺さん連中は国王にも他の側近にも大丈夫!大丈夫!って言ってくれたけれど、やはり彼らも立場上仕方ないよなーって許せるあたり、俺も成長したってもんでしょう。
多少なりとも効果はあったようで、それから2週間、1カ月と時間が経つにつれ俺の待遇は良くなっていった。
この国の最高権力者に恩を売ったわけで、これからいろいろとやりやすくなるはずだ。
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