3話
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た事件欄でわかる程度の事しか知ることは出来ず、墓地で墓石を確認してその事実を受け止めるしかなかった。
やはりそうなんだ。彼女がもっとも絶望したのは自分が会えば何かが変わると弾んでいた気持ちが恩人が亡くなっていると知った時には全く動じなかった事だ。確認するまではあんなに焦ったのに。
今はもう心に何も感じなくなっていた。
途方に暮れてクロスベルを彷徨っていたティオがみっしぃに目を留めたのはその直後だった。
導力工房の店先でみっしぃのぬいぐるみがエスプスタイン財団の宣伝講習の景品として出されていたのだ。
そういえばみっしぃがクロスベル市で売られているマスコットキャラクターだったことを知って、みっしぃをくれた時の気持ちを思い出してちょっと欲しくなった。
この宣伝は財団が導力器の構造を簡単に説明するためにやっているもので分解された導力器を組み立てるというものだった。
(この導力器?)
組み立てる前にクオーツから出る導力波が不安定であることに気付いた。
「あの、これ、壊れてますけど」
ティオの指摘に研究員たちは最初は上手く出来ないから文句でも言ったのだろうという感じで見ていたのだが、壊れていないことを見せるために組み立ててみると本当に壊れているとわかると驚いていた。
「なんでわかったの?」
「(結晶回路)が壊れていましたから」
ティオの答えが合っていると知ると研究員たちは今度こそ目を剥いた。
何百回も解体と組み立てを繰り返して結晶回路が傷んでいた。それがわかった事がおかしなことなのだ。
彼らは広報として営業の傍ら市場調査などを行っているが本質的に研究者であり技術者だった。その場で簡単な実験を行い導力波が見えていることを掴むと財団に協力しないかと誘ってきた。
彼ら曰くティオの能力は一種の才能であり導力波が感じられるということは導力器の出力の安定を見極められて新製品の開発に非常に有用な財産であること、財団本部には優秀な子供を集めた学校があり受け入れ先はあると。
彼らの熱意にティオは自分の能力が何かの役に立てるものなのかと心が動き、彼らが本心からティオの力を欲しており嘘がなかったこと、何よりも今更実家に帰るのが嫌だったということもあり、家出している事情を話さすとすぐに対処すると言ってくれその話を受けることにした。
話はトントン拍子に進み、レミフェリア公国の実家には財団の担当者が出向いて両親に事情を説明して、両親も娘が人と違う才能があったとわかると距離を置きたかったのか財団の信用もありあっさり承諾してティオがエプスタイン財団で生活することが決まった。
財団の研究員と本部のあるレマン自治州へ向かう飛行船の中でティオは離れていくクロスベル自治州を見ていた。、
(自分にも生き残った意味
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