第三話
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第三話 相変わらずの人
天本破天荒博士にないものは何か、常識だの良識だのといった普通の人間にとって必要なものである。
そういったものがないからこそである。
「またですか」
「何がじゃ?」
博士は助手の小田切君に平然と返す。見れば。
その辺りでカツアゲをしていた不良を捕まえて目をくり抜き耳をペンチで引き千切っていた、当然絶叫が起こっている。だが博士はそれを無視していたのだ。
それで小田切君はその博士に言ったのである。
「何処からか捕まえてきた不良を嬲り殺しにしてるんですね」
「これは実験じゃ」
「実験ですか」
「そうじゃ」
しれっとして言う博士だった。
「人間は何処まで痛みに耐えられるかというな」
「って殺すんですよね」
「無論じゃ」
殺人について思うこともない。
「痛みに何処まで精神が崩壊せぬかな」
「それを確かめる実験ですね」
「こうしてじゃ」
今度はペンチで生爪を剥いだ、指の先から鮮血が噴き出る。
「他には舌を抜き歯も抜きじゃ」
「そういうの痛いですよね」
「ただでさえ痛いがのう」
博士は楽しそうに言う。
「傷口に塩を塗り込み熱湯等をかける」
「余計に痛いですよ」
「こうしてじっくりと時間をかけて行っていく実験じゃ」
「それで被害者の精神何時までももつんですか?」
「大抵一日ももたん」
精神崩壊を起こして廃人になってしまうというのだ、痛みのあまり。
「人間の精神は痛みに何処までも耐えられんのじゃ」
「その実験からわかったことですね」
「それでこれは案外楽しい実験じゃ」
博士の本音が出た。36
「飽きぬわ」
「それで殺すんですね」
「精神が崩壊すればな」
その時にだというのだ。
「後は今回は電車に体当たりさせる」
博士が造った電車にである。
「一発でジュースの様になって虫や烏の餌じゃ」
「徹底してますね、本当に」
「屑は最後までわしの楽しみになってもらう」
平然ととんでもない言葉が出続ける。
「偉大な天才科学者に貢献する。よいことじゃな」
「そうは思わないですけれどね」
相変わらずの博士だった、博士だけは全く変わることがなく狂気の実験と殺戮を飽きることなく続けている。
第三話 完
2013・1・20
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