第11話
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私たちは伊澄ちゃんに付いて来て今、大きな鏡がある部屋まで来ていた。
「伊澄さん。なんや、このゴッツー大きな鏡は?」
咲夜ちゃんが私も一番気になっている事を、伊澄ちゃんに聞いてくれた。
「これはですね。この家に伝わる家宝の一つで、名を――」
「――別れそうになったら、この鏡でも見て出会った時の事を思い出そうよくん……訳して『出思いくん』です」
「「「……………………」」」
その時私たちは、みんな同じ事を考えていたと思う。
――なに? その名前……
私たちが名前について悩んでいる内に、伊澄ちゃんは話を進めた。
「簡単に言いますと、鏡の前にみたい人たちが鏡にふれたらその人たちの出会いが、映し出されるという事です」
「そ、そうなんだ……」
名前を聞かされた後だとその位しか反応できなかった。なんたって、あの咲夜ちゃんもツッコミができないなんてそうとうだもんね〜。仕方ないよ。
「ただし! 名前から分かるように、この鏡は男女の出会いしか映しませんし、しかもそのペアは1回だけという……あと、すれ違いとかでもアウトですね」
と、伊澄ちゃんは黙っている私達に気付かず、補足説明を続けてくれた。
「それでもいいのなら、お二人ともどうぞ鏡の前へ」
「うん」「はい」
伊澄ちゃんに呼ばれて、私とハヤ太くんは返事をして鏡の前に行き鏡に触れる。
すると、少し鏡が「ピカー」と輝いたと思ったら、輝きがすぐに消える。
伊澄ちゃんに「もういいですよ」と言われて、鏡から離れて暫く見ていると、少ししてから映像が流れ始めた。
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『キャアアアア!!』
その鏡の映像は女の子の悲鳴から始まった。…………あれ? この声って、理沙ちん達が撮る動画で良く聞くような……。
『もーー、泉のお人形返してよー!!』
悲鳴の女の子の姿がじきの映りだし、その女の子は犬に人形を食べられて泣いているようだった。
私はその女の子を見て言葉を失う。だって――小さい頃の私だ!
……そうだ! この場面も知ってる……ってことは、やっぱりハヤ太くんが……。
『やーー!! もーー!! 誰か助けてーーーーーーっ!!』
小さい私は大声を出し誰かに助けを求める。私の記憶が正しいならこの後、ハヤ太くんが来て……そして……。
「おー! 小さい瀬川さんやんけ。かわえーなー。……でも、なんやこの展開?」
咲夜ちゃんが小さい私を見て感想をあげる隣で、これからの場面を思い出して少し顔が熱くなってきた私に、そっとに近づいてきて私の耳元でハヤ太くんは少し困った顔で言ってきた。
「あー……えーと、瀬川さん……僕、この場面知っているんです
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