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戦国御伽草子
弐ノ巻
かくとだに

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には底知れない不気味さがあった。気配が、全くしない…。



待てよ、こんな真夜中に、こんな小さな子が一人で琵琶の湖なんかに、来るか?



『しねばよかったのよ。そいつは、そうのぞんでたもの。だからせっかく、ころしてあげようとしたのに。じゃまよ、そいつ。しねばいいのに。しょうしがいやなら、できし。できしがいやなら、あっし。どんなしにかたでもいい、このおんなが、このよからきえればいい』



赤い唇からくすくす、と楽しそうな声が漏れる。



『あんたも、じゃまよ。これいじょう、わたしのじゃまをするなら、そいつとおなじように、ころしてあげる。そいつは、しぬうんめいなの。もうすぐ、ころされるの。あぁうれしい』
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