SAO編
episode2 風来坊の止まり木
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「まさか、本当にこんなに早くこなしてくれるなんて。あなたにはいつも驚かされます」
「本当に、ありがとうございます」
再び『軍』の本部を訪れた俺の報告書を読みながら、シンカーが言った。まあこいつらも俺が死ぬかもとかまで思っていた訳ではないだろうが、それでもこの速さで依頼をこなしてくるとは思わなかったらしい。尤も確かに俺一人では確かに無理だったろうが、協力者の名前は伏せておいた。今の『軍』の現状は予断を許さない。下手に関わらせても碌な事が無いだろう。
「んで、こいつは餞別。二つしかねーから到底人数分とかはいかないだろうがな」
「っ、『ミスリル・インゴット』!?そ、そんな、受け取れませんよっ!」
「いや、俺もつかわねーし。いらんなら捨てるよ」
「で、ですが、」
「……ユリエールさん。分かりました。ありがとうございます。報酬は、」
「今はいいや。欲しいもんもないし。なんか『軍』クラスの人数が必要な時は頼むよ」
そう言ってさっさと席を立つ。クエスト報酬だろう、鉱山の奥で見つけた希少金属素材『ミスリル・インゴット』は合計四つ。恐らくパーティーメンバーに一人一つずつなのだろう。俺はいらないと言っ
たのだが、なんか二つも押し付けられた。なんでだろうな。
「書いてあるが、多分クエスト再発生は二週間だと思う。NPCが「これで坑道は半月は持つだろう」とか言ってたしな。クエスト情報は一ヶ月後に公開するつもりだから、攻略は二週間後に勝手にやってくれ」
「分かりました。二週間あれば対策も十分出来ると思います。危険な場所もモンスターの性質も、すごく分かりやすくまとめてありますね。これなら人数を揃えれば何とかなるでしょう。他の情報屋ではこうも行きません。いつもシドさんの報告書の読みやすさには驚かされますよ」
「よしてくれよ」
アラームトラップの場所は書いてあるし、細道の対処法も書いておいた。というか、あのレバーの仕掛けはよく考えれば普通にパーティーを二つに分けて、片方を広間に待機させておけば無問題だ。要するに俺が身を呈してダッシュする必要など全く無かったわけだ。ソラのアホめ。
報告書に関してはユリエールさんが褒めてくれたが、正直このくらいは俺にとっては何でもない。
母親が過保護で、俺を案じて幼いころからやたらと童話やら絵本を読み聞かせられ、ちょっと育ってからは毎日読書の練習を義務づけられたせいで日本語力は相当に鍛えられている。情報収集力も、高校に入ってからは地方紙にゴシップを投稿して小遣い稼いでたりしたのだ、それなりに自信がある。
「んじゃ、頑張ってな〜」
「なにか必要なものがあったら、」
「いやいや、下層のフロアの治安維持と警護、よろしく頼むわ。それが一番だろ」
下層フロア
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