SAO編
episode2 唐突で強引な出会い
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『ロンバール』。
現在の最前線、二十七層の主街区であり、俺が今現在宿を取っている街でもある。
アインクラッドの各層にはどうやらそれぞれコンセプトがあるらしく、この層のそれは「常闇の国」。常にうす暗く、幻想的な雰囲気が、もともと明るい所が苦手だった俺には快適だ。そこの君、根
暗とか言わない。
先程までいた一層の『始まりの町』と比べれば宿代も高くて冒険に必要な様々な施設はまるで整ってはいないものの、そこそこに稼いでいて武器防具のメンテも殆ど必要無い俺には関係無い。しばらくはここをホームタウンにしよう、と俺はひそかに決めていた。
「ふっふっふ!!! 待っていたよっ!!!」
とまあ、俺には随分居心地のいい街である『ロンバール』へと帰った俺を出迎えたのは、厨二病丸出しの笑い声と数人のプレイヤーによる囲い込み…いわゆる『ボックス』という奴だった。この街の神秘気的な雰囲気を壊す、普段ならブチ切れたくなるようなハラスメント行為、なの、だが。
「バカっぽっ…」
俺は起こるより先に呆れが来てしまった。
いや、だって、囲んだって言っても人数がたった三人だ。そんな少人数では隙間縫って全然逃げられる。そんなスカスカな拘束で、両手腰に当てて高らかに笑われても…まあ、それに気づかないくらいのバカなのだろう、おそらく。
真正面のバカは放っておいて、左右の二人に視線をそらして、
「リーダー、やっぱ無理ッスよ…」
「…バカ、丸出し」
うん、意見の一致を見た。
一人は、中肉中背の、チェインメイルを着た男。街で着るには少々重量級に過ぎる装備だが、それを感じさせない自然な動作をみるとそこそこの筋力値を持つレベルなのだろう。だがそう予想される割には、その顔は今にも泣きそうで情けないこと極まりない。
もう一人は、女だ。恐らく俺の肩までくらいしか無い小柄な体で、装備も皮の上半身鎧。外見的には軽戦士かと思われるが、腰や背中に目立った武器は装備していないようでわからない。その顔は無表情だが、肩をすくめて両掌を上にしたそのポーズから、心情は明らかだ。
結論。無理矢理付き合わされたんだな。
「シドくん! 私達と、ちょっとお話をしないかねっ!?」
「このバカに」
「なっ!? いきなりバカ言いますかっ!?」
この目の前の、バカ女に。
顔を赤らめて身を乗り出すその動作は、SAOの感情表現エンジンが随分と大げさなSAOだということもあろうが、この女がオーバーアクションなのも確かだろう。とりあえず身振り手振りで「やれやれ」を全力で表現しつつ、
「まあ、とりあえず話くらい聞いてはいいけどよ。一応座れる場所に移動させてくれよ」
軽くこちらのペースに巻き込んでおく。
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